我が家の電話回線は現在利用休止中で、NTT東日本に電話回線の権利を預かってもらっています。10年経つと自動的に解約されたものとして取り扱われるそうです。

電話加入権とは

新たに加入電話を申し込む場合に、「施設設置負担金」という初期費用を支払うプランがあります。この施設設置負担金は売買することができますので、加入電話を利用する権利ということで「電話加入権」と言われます。

本日(2018年11月8日)現在、NTT東日本の施設設置負担金は36,000円(消費税別)です。

電話加入権の会計処理

施設設置負担金を支払って買った電話回線は、上記のとおり、利用休止の手続をしてNTTに預かってもらうことができますし、(きわめて安値ですが)専門業者に売却できます。このため、財産としての価値があると認められ、電話加入権は貸借対照表の資産の部の「無形固定資産」に計上されます。

計上する金額は、買ったとき(加入電話を申し込んだとき)に支払った金額です。

固定資産については、資産の利用に伴う価値の費消や劣化を表すために資産の取得価格を規則的に費用に振り替えて計上する「減価償却」という会計処理を適用するものもありますが、電話加入権は権利であり、資産の利用に伴う価値の費消や劣化はないものとみなされ、減価償却は行いません。

したがって、解約したり売却したりしない限り、基本的には、買ったときの金額のまま、ずーーーっと貸借対照表に計上されることになります。

市場での買取価格は、もはや1,000円くらいのようですが。

減損会計は適用されるか?

携帯電話や電子メールの普及に伴い電話回線を休止しているとか、閉店した店舗で使っていた電話回線を解約あるいは売却せずに残してあり遊休状態になっている、といったケースがあるかと思います。

このような場合、上場企業などが準拠する「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損会計が適用される可能性はあるのでしょうか?

減損会計とは

減損会計とは、固定資産(有形固定資産、無形固定資産)に減損の兆候が認められ、減損損失が認識された場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減少額を損失とする会計処理です。

まずは、独立した営業活動に利用されている単位で資産をグループ分けします。例えば、店舗ごと、などです。賃貸ビルなどの場合は、ビル1棟という単一の資産を1つの単位とします。

減損の兆候

減損の兆候には、次の4つがあります。

  • 資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、あるいは、継続してマイナスとなる見込みであること
  • 資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること(遊休状態になったことを含む)
  • 資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みであること
  • 資産又は資産グループの市場価格が著しく下落したこと

減損損失の認識

減損の兆候が認められた場合には、資産または資産グループを営業活動に一定期間そのまま継続して利用した場合に得られる収入を積み上げた金額と、帳簿価額とを比較して、帳簿価額の方が大きかったら、減損損失を認識します。

店舗の業績が悪くなった場合などは、このようなことが起こり得ます。

電話加入権は営業活動に利用されている資産グループの一部を構成することが一般的ですので、資産グループに減損損失を計上する場合には電話加入権も減損する、ということになります。

遊休資産は単独で減損損失の認識を判定しますが、通常、電話加入権のみでは金額的重要性に乏しく、遊休状態を理由に減損することは実務的にはないと思います。

減損損失の税務処理

法人税法上は、減損損失は見積もりの損失であり確定していないため、税金計算上、通常、経費として差し引く(損金に算入する)ことはできません。

固定資産については、次のような理由によって資産の価格・価値が下落した場合には、資産の評価換えを行い、減額した金額を評価損として損金に算入することが認められています。

  • 資産が災害により著しく損傷したこと
  • 資産が1年以上にわたり遊休状態にあること
  • 資産を転用したこと
  • 資産の存在する場所の状況が著しく変化したこと

「遊休状態があるじゃん?」と思いますが、各々の状況と価格の下落との因果関係が必要とされていますので、たとえ電話加入権の買取価格が1,000円であっても、それは会社で遊休状態にあったためではないため、やはり損金に算入することはできません。

10年経ったら

我が家のように、電話回線を利用休止していて10年経過すると、解約されたものとして取り扱われます(ソフトな言い方をしていますが、要は、申し出がなければ自動的に解約します、ということです)。

解約されれば、権利が消滅することになりますので、会計上固定資産除却損などとして損失を計上し、税務上も損金に算入することができます。

電話回線を休止するのは2回目ですが、今回休止した際には、10年経ったら解約(正確には、5年で休止を自動更新、10年で解約)、ということをずいぶん強調されました。休止開始から1年経ったので9年後。覚えてはいても、ついうっかり連絡を後回しにしてしまい、結局解約されちゃったというオチにはなりそうな・・・。

管理コストが膨大で、どこかで処理しないと大変なのでしょうね。

おわり。

今日の花

竜胆(リンドウ科、原産地:日本)

すっと伸びる姿が美しいです。段状に複数の花が咲いており、いけるときは花を適宜取ってすっきりさせなければならないのがつらいです。外した花も捨てずに小さな空き瓶にいけたりします。