多数派であろう、夫=扶養者(メインで働いている)、妻=被扶養者(夫の扶養に入っている)、の場合を前提として、配偶者にかかわる「扶養」の制度についてご紹介しています。

前回は、所得税の扶養についてご紹介しましたので、今回は、社会保険の扶養についてご紹介します。

なお、扶養者=妻、被扶養者=夫のパターンでも考え方は同じです。

社会保険における扶養

社会保険(健康保険と厚生年金保険)において、妻が夫の扶養に入るか入らないかによって変わるのは、妻の社会保険です。

妻が一定の収入以下である場合、夫の被扶養者として、夫(と会社)がおさめる社会保険料に妻の保険料が含まれることになります。

夫がおさめる社会保険料は、夫の給与によって決まり、被扶養者がいてもいなくても、金額は変わりません。

妻が被扶養者でなくなり、自分で社会保険(または国民健康保険と国民年金)に加入するとなると、その分がまるまる負担増となるため、大きな差が出ます。

扶養に入る要件

社会保険の扶養の要件は、夫が加入する健康保険により、異なる場合があります。ここでは、協会けんぽを例に取ります。

  • 年収130万円未満かつ夫の収入の半分未満
  • 戸籍上の妻は同居していなくてもよい
  • 内縁の妻は同居していれば該当

なお、妻に事業所得(手作り品の販売等によるもうけ)がある場合、年収130万円未満かどうかを見るにあたって、販売収入から差し引くことができるのは仕入等の経費に限られます(所得税を計算する場合の必要経費すべてを差し引くことはできない)ので、注意が必要です。

扶養を外れたらどうなる?

前提条件

  • 時給1,000円、月110時間、月11万円(年間132万円)の給与収入のみ
  • 勤め先は従業員規模500名以下
  • 東京23区に在住、年齢35歳

ぎりぎり扶養を外れてしまうケースです。

この勤務時間等の条件の場合、勤め先の社会保険への加入要件は通常満たさないため、夫の扶養を外れると、自分で国民健康保険と国民年金に加入します。

なお、以下で用いる料率、金額は、投稿時点(2019年7月24日)のものです。

国民健康保険

国民健康保険(年額)=算定基礎額(※)×7.25%(医療分所得割)+39,900円(医療分均等割)+算定基礎額×2.24%(後期高齢者分所得割)+12,300円(後期高齢者分均等割)

(※)算定基礎額=総所得金額-33万円=(132万円-65万円)-33万円=34万円

国民健康保険(年額)=34万円×7.25%+39,900円+34万円×2.24%+12,300円=84,466円

国民年金

国民年金(年額)=16,410円×12ヶ月=196,920円

手取りの変化

手取りが変わる要因は次のとおりです。

  1. 夫の税金が増える→マイナス
  2. 妻の収入差→プラス
  3. 妻の国民健康保険、国民年金、雇用保険→マイナス
  4. 妻の所得税・住民税→マイナス

所得税・社会保険とも夫の扶養の範囲内で働いていた妻が、これらの扶養から外れた上記のケースと比較します。

前提条件

  • 妻:時給1,000円、月80時間、月8万円(年間96万円)の給与収入のみで、その他の条件は上と同じ
  • 夫:所得税率は20%

①夫の税金が増える→マイナス33,000円

所得税:プラスマイナスゼロ(配偶者控除から配偶者特別控除に変わるが、所得からマイナスされる金額は同じなので所得税の増減はない)

住民税:配偶者控除33万円×10%=33,000円

②妻の収入差→プラス36万円

132万円ー96万円=36万円

③妻の国民健康保険、国民年金、雇用保険→マイナス285,346円

雇用保険料率は0.3%ですので、年間で、

11万円×0.3%×12ヶ月=3,960円

となります。

国民健康保険84,466円+国民年金196,920円+雇用保険3,960円=285,346円

④妻の所得税・住民税→マイナス8,137円

妻の所得税がかかる所得=給与収入132万円ー給与所得控除65万円ー社会保険料控除285,346円ー基礎控除38万円=4,654円

妻の所得税=4,654円×5%×102.1%=237円

妻の住民税がかかる所得=給与収入132万円ー給与所得控除65万円ー社会保険料控除285,346円ー基礎控除33万円=54,654円

妻の住民税=所得割54,654円×10%-調整控除50,000円×5%+均等割5,000円=7,900円

所得税237円+住民税7,900円=8,137円

純増減の計算

①-33,000円+②36万円-③285,346円-④8,137円=33,517円

マイナスにはなりません。

なお、

  • 夫の会社で「扶養手当」等がある場合に受けられなくなる
  • 世帯の収入が増えることにより、自治体からの補助等が受けられなくなる

といった、ここでは考慮しなかったマイナス要因がある場合もありますので、注意が必要です。

おわりに

平成30年分からの配偶者特別控除改正の影響より、ぎりぎり社会保険の扶養から外れたとしても、収支はかろうじてプラスになります。

とはいえ、年間で(110時間ー80時間)×12=360時間労働時間が増え、増える手取りが33,517円(時給100円いかない)では、損、という感覚になりますよね…。

結局、扶養の範囲内、というのが壁であることには変わりないように思えます。

今日の花

カラー(サトイモ科、原産地:南アフリカ)

比較的通年出回り、自分の好きな花でもありますが、初めての登場です。白いものは、先日アンスリウムのご紹介のときにも出てきた「仏炎苞」で、要は、葉が変形したものです。花はこの中にくるまれるように入っています。形が独特なので、これ1本でも様になります。

1日1新
~1日1つ、何か新しいことをする試み

吹上の森のかき氷