「扶養の範囲で働きたい」という希望をかなえるためには、どのようにすればよいでしょうか?

また、扶養の範囲を外れると、何が変わるでしょうか?

今回は、多数派であろう、夫=扶養者(メインで働いている)、妻=被扶養者(夫の扶養に入っている)、の場合を前提としてご紹介します。逆のパターンでも考え方は同じです。

2つの扶養

配偶者にかかわる「扶養」という場合、2つの制度がかかわります。

  • 所得税
  • 社会保険

所得税における扶養

所得税において、妻が夫の扶養に入るか入らないかによって変わるのは、夫の所得税です。

所得税には、いくつかの所得控除(収入から一定の金額を差し引く決まり)があり、そのうち、配偶者にかかわるものには「配偶者控除」と「配偶者特別控除」があります。

夫が妻の生活費をまかなっている場合には、その分、生活費が多くかかるだろうから、夫の収入から一定の金額を差し引き、差し引いた金額には税金をかけないことによって、手元にお金が残るようにしてあげましょう、という制度です。

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いは、妻が稼ぐ収入の違いです。

「配偶者特別控除」は妻が稼ぐ収入が多い場合に適用される決まりで、夫の収入から差し引かれる金額は小さくなります。

配偶者控除

「配偶者控除」を受けるためには、妻が次の要件を満たし、かつ、夫自身の収入が1,000万円以内であることが要件となっています。

  1. 婚姻届を出していること(内縁関係の人は該当しない)
  2. 夫と生計を一にしていること(夫の生活費で暮らしていること。夫の単身赴任等で別居していても、生活費を常に送金していたり、休暇等に自宅で過ごす等していれば場合は該当。)
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

「配偶者控除」の金額は、次の通りです。

夫の合計所得金額 控除額
妻が70歳未満 妻が70歳以上
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

配偶者特別控除

上の4つの要件のうち、妻が、③年間の合計所得金額、以外の要件を満たしており、かつ、夫自身の収入が1,000万円以内である場合、「配偶者特別控除」を受けられる可能性があります。

「配偶者特別控除」を受けるためには、

  1. 上記の要件①、②、④を満たすこと
  2. 妻の合計所得金額が38万円超123万円以下であること

が要件となっています。

「配偶者特別控除」の金額は、次の通りです。

妻の合計所得金額 夫の合計所得金額
900万円以下 900万円超950万円以下 950万円超1,000万円以下
38万円超85万円以下 38万円 26万円 13万円
85万円超90万円以下 36万円 24万円 12万円
90万円超95万円以下 31万円 21万円 11万円
95万円超100万円以下 26万円 18万円 9万円
100万円超105万円以下 21万円 14万円 7万円
105万円超110万円以下 16万円 11万円 6万円
110万円超115万円以下 11万円 8万円 4万円
115万円超120万円以下 6万円 4万円 2万円
120万円超123万円以下 3万円 2万円 1万円

合計所得金額とは

よく、「妻の収入が103万円までならOK」と言われますが、これはあくまで、妻の収入が給料だけの場合です。

所得税がかかる「所得」(収入、もうけ)には10種類あり、合計所得金額は、その10種類所得すべての合計、という意味です(細かい決まりは省略して説明しています)。

このため、給料のほかに、例えば、ハンドメイド作品の販売のもうけ、アフィリエイト収入、などがあれば、それらをすべて合計する必要があります。

なお、給料から得られる所得は「給与所得」、ハンドメイド作品の販売のもうけやアフィリエイト収入は「事業所得」(「雑所得」の場合もあり)といいます。

給与所得の計算方法

給与所得は、次の方法で計算します。

税金や社会保険料等を差し引く前の総額の給料の収入の合計(1~12月に受け取ったもの)-給与所得控除

給与所得控除とは、給与所得の計算をするときに給料の収入から差し引くことができる金額で、収入の金額ごとに段階的に決められています。

例えば、給料の収入が103万円の場合、給与所得控除の金額は65万円と決められていますので、給与所得の金額は、

103万円-65万円=38万円

となります。

妻の収入が給料103万円のみであれば、妻の合計所得金額は上記給与所得の38万円のみとなり、夫が「配偶者控除」を受けることができる妻の合計所得金額の要件を満たすことになります。

事業所得の計算方法

事業所得は、次の方法で計算します。

事業から得た収入-必要経費(ー青色申告特別控除額)

こちらは、売上と経費(原価その他の経費)の実際の金額をそれぞれ集計し、差し引きのもうけを計算します。青色申告特別控除額とは、承認申請書を提出したうえで、確定申告を「青色申告」という方法で行っている場合にもうけから差し引くことができる金額です。

仮に、事業から得た収入が103万円、必要経費が10万円、青色申告も行っていない場合、事業所得は、

103万円ー10万円=93万円

となります。

妻の収入がこれのみであったとしても、妻の合計所得金額は38万円を超えてしまうため、夫が「配偶者控除」を受けることができる妻の合計所得金額の要件を満たしません(「配偶者特別控除」を受けることができる妻の合計所得金額の要件は満たす)。

また、事業から得た収入が200万円、必要経費が150万円、青色申告を行っている(65万円控除)場合、事業所得は、

200円ー150万円ー65万円=-15万円

となり、妻の収入がこれのみであれば、妻の合計所得金額は38万円以下となるため、夫が「配偶者控除」を受けることができる妻の合計所得金額の要件を満たします。

社会保険の扶養については、次回に続きます。

今日の花

アンスリウム(サトイモ科、原産地:熱帯アメリカ)

最近よく見かけるような気がする、紫色のアンスリウムです。薄紫色の大きな部分は「仏炎苞」(花を包む大型の苞(葉が変形したもの))と呼ばれるもので、この色でこの大きさのものは、普通の花ではなかなかないので、アレンジメントなどに使うとインパクトがあります。向きをどう向けると美しいかが悩ましく、重みも均一でないので、花瓶の中でくるくる回って困りました。

1日1新
~1日1つ、何か新しいことをする試み

カルディコーヒーファーム 杏仁豆腐氷