自分にとって、特別な場所はありますか?

私にとって、特別な場所の一つは、東京駅丸の内北口にある「オアゾ」周辺です。

エスペラント語で「憩いの地(オアシス)」を意味するというオアゾ。

東京駅丸の内北口から永代通りへつながる通路は高い吹き抜けとなっており、その天井を眺めるのがとても好きです。

1階~4階まで書店の丸善が入っていますが、日本橋本店と比べて天井が高く広々していて、こちらができてからは好んで利用するようになりました。

そんなオアゾを出て、東京駅に向かう横断歩道の手前に立つと自分を囲む360度の景色は、私にとって特別なものです。

監査法人に在籍していた最後の数年間は、大手町にあるビルに勤務していました。勤務といっても、監査事業部(企業の会計監査を行う部門)に在籍していたころは、直行直帰が基本でしたので、事務所に行かない日もありましたが、品質管理部に異動してからは、毎日大手町のビルに通勤するようになりました。

自分の出来が悪かったせいもありますが、早朝から深夜まで働かないと(働いても)仕事が終わらない部署で、深夜に帰宅して夜中に寝て3~4時間で起床して朝食は取らずにまた出かけて、オアゾの地下にあるベーカリーのイートインで朝食を取っていました。事務所でも自宅でもない、その空間にいる時間だけが、ほんの少し気を抜ける唯一の時間でした。

まれに上司が先に帰るときがありました。そういう時は当然自分も「やってられるか」となります。ベーカリーに併設されているレストランは一人客にも優しく、パンの食べ放題があるのがうれしくて、決まってそこへ走っていき、たまのまともな食事を取りました。

クリスマスのイルミネーションでシャンパンゴールドに輝く丸の内仲通りを、「何でこんな仕事してるんだろう」と苛立ちながら速足で東京駅まで歩いたり。

尊敬する先輩の一人が、あるプロジェクトのために異動して一時期勤務していたビルが東京駅の八重洲側にありました。丸の内北口の横断歩道に立つと、駅の向こう側に見えるそのビルを眺めながら、「つらい。でもお互い頑張りましょう。」と言ってくださったその言葉を、何度も何度もかみしめたり。

真向かいに見える、丸の内南口に立つ郵便局の入った大きなビルには、仕事がらみで苦い思い出があります。

監査法人を退職したその日もオアゾの丸善に行きました。これから飛び込む新しい世界のために、今までにあまり見たことのなかった税務関係の書棚を眺めると、棚に並ぶ本がきらきらして見えました。解放感に満たされて吹き抜けの天井を見上げたことは忘れません。

それでも、苦しい思いを抱えて通ったことの方が多かったのか、監査法人を退職してから1年くらいは丸の内北口~大手町周辺には近寄りたくもなく、どこか胸が締め付けられるような感覚はなかなかなくなりませんでした。

ようやくその感覚もなくなり、今はむしろ、もやもやするとそこへ行き、自分を奮い立たせる場所になりました。

早朝から深夜まで仕事に縛り付けられて何も得られなかったあんな日々を乗り越えたじゃないか。この先のビルでは昔の仲間(もうあちらは私のことなど覚えていないでしょうが)ががんばっている。ここで引き返して負けたくない。

今日(日付とっくに変わっているので昨日ですが)も仕事で消化しきれない思いがあり、帰りに立ち寄りました。

冷たい空気の中、オアゾを背に横断歩道に立って、周りを眺めて、深呼吸をして、気持ちを切り替えて。

自分にとっての特別な場所で、そんなことをした夜でした。

今日の花

ガーベラ(キク科、原産地:南アフリカ)

たまにピンクの花もいいなと思いますが、基本的にはピンクは苦手な色です。ただ、いけばなで月1回「研究会」というテストがあるのですが、そのときはピンクの花を使わなければならないことが多いです。緑にピンク、といった取り合わせの方が、技術の善し悪しが見えやすいからなのだろうと推測していますが。これも「ピンクに免疫をつけなければ」と思って買ったものですが、つい、中心が黒い、少し変わり種のものを選んでしまいました。