新聞を見ていると、記事の中に、

「特損」

という言葉が普通に出てくることがあります。

見ている新聞が日本経済新聞だからなのかもしれませんが。

私は仕事柄、「ふーん」と読み流してしまいますが、これって、普通に使って通じる言葉なのでしょうか?

特損とは

「特損」とは、「特別損失」の略で、損益計算書に記載される区分損益の一つです。

損益計算書とは、会社の経営成績(売上、仕入などの事業活動を通じて、いくらもうけたかまたは赤字になったか)を示す書類ための書類です。

損益計算書は一事業年度単位で作成しますが、上場企業では四半期(3ヶ月)累計の損益計算書も公表されますし、内部管理等のために、月単位で作成することもあります。

損益計算書は、次のような書式です。

損益計算書の分類

上の書式の上から順に、分類の概要をご紹介します。

  • 売上高…本業の収益
  • 売上原価…本業の収益を獲得するために直接ひもづく費用
  • 売上総利益…売上高から売上原価を差し引いたもので、いわゆる「粗利」
  • 販売費及び一般管理費…給料、家賃、旅費交通費、通信費など、本業を営むためにかかる費用
  • 営業利益…売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもので、会社の本業から得られるもうけ
  • 営業外収益…受取利息、受取配当金など、本業以外から獲得する収益で、おおむね毎年継続して発生するもの
  • 営業外費用…支払利息など、本業以外にかかる費用で、おおむね毎年継続して発生するもの
  • 経常利益…営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を差し引いたもので、会社の本業と本業以外の活動から得られるもうけのうち、おおむね毎年継続して発生するもの
  • 特別利益…固定資産売却益など、本業以外から獲得する収益で、臨時的に発生するもの
  • 特別損失…固定資産売却損など、本業以外にかかる費用で、臨時的に発生するもの
  • 税引前当期純利益…経常利益に特別利益を足し、特別損失を差し引いたもので、税金を除く会社全体の活動から得られたもうけ
  • 当期純利益…税引前当期純利益から法人税等を差し引いたもので、会社全体の活動から得られた最終的なもうけ

特別損失とは

上述のように、特別損失とは、本業以外にかかる費用または損失で臨時的に発生するものをいいます。

具体的には、次のような費用または損失が含まれます。

  • 固定資産売却損
  • 有価証券売却損(もともと転売目的で取得したものでないもの)
  • 災害による損失
  • 減損損失(店舗等の営業成績が悪い場合に、該当する店舗等の固定資産の価格を減額する)
  • 投資有価証券評価損(保有する株式の価値が下がり、回復の見込みがない場合)
  • 製品補償費用(出荷した製品に生じた不具合に対応するための諸費用)
  • 本社移転費用
  • 訴訟の賠償金や和解金

これらは一般的に臨時に発生するものであり、金額も多額になることが多いため、「特別損失」という区分に分類すると決められています。

これらの費用または損失であっても、毎年継続して発生するような場合(あまりないと思いますが)や、金額が少額な場合は「特別損失」としなくてもよいとされています。

なぜ分類するのか?

損益計算書では、収益・費用を決まった区分ごとに分類・集計し、かつ、各区分に入れるべき収益・費用についても決まりがあります。

このように、一定のルールに従って分類・集計することによって、次の効果が得られます。

会社がどのような活動からもうけを得ているかがわかる

税引前当期純利益がプラスになっていても、売上総利益、営業利益、経常利益のすべてがプラスであるとは限りません。例えば、営業利益はマイナス=本業では赤字であっても、株式等で余剰資金を運用し、受取利息や受取配当金を稼ぐことによって経常利益がプラスになることもあります。

逆に、税引前当期純利益がマイナスになっていても、営業利益=本業、経常利益=本業+毎期継続して発生する本業以外の活動はプラスで、たまたま何らかの災害で商品等がダメージを受け、その廃棄損を特別損失として計上した結果である場合もあります。

各区分でプラスになっているかマイナスになっているかを見ることにより、継続的に黒字を出せているのか、そうでないのかがわかります。

比較できる

各区分に入れるべき収益・費用についても決まりがある、ということは、毎年同じルールに従って損益計算書を作成することになります(なるはず)。

そうすると、前期や過去数年間の損益計算書を比較する際に、どの段階の利益が増減しているかを見ることで、自社の利益の増減の原因を分析することができます。

また、他の会社も同じルールに従って損益計算書を作成している(はずです)ので、同業他社の損益計算書を見て、売上に対する利益率等を比較すると、自社の経営の効率性等を確認したり、改善点を探る手がかりとすることができます。

おわりに

上場企業ですと、この区分のルールは厳格で会計監査でもチェックされますが、そうでないと、あまり「特別損失」というものを意識したことはないかもしれません。

しかし、臨時で多額に発生した費用または損失を「特別損失」に区分することにより、自社の営業活動の成果をより実態に即して表すことができます。今後の決算では、意識してみてはいかがでしょうか。

今日の花

バンクシア(ヤマモガシ科、原産地:オーストラリア)

白い産毛のようなものに覆われた粒粒の1つずつが、蕾です。直径約5センチ、長さ約13センチあります。フラワーアレンジメントのレッスンの花材だったのですが、まあまあお高い花材なので、珍しくて興味はありつつも自分では買ったことのないものでした。手に取って間近に見てみると、見れば見るほど不思議な花です。下の方から、少しずつ、蕾が分かれて細い花びらが出てくるようです。気長に待ってみます。

※1日1新は1回休み