アメリカでウーバーがニューヨーク証券取引所に上場します(現地時間2019年5月10日~)。

ウーバーといえば配車サービスの大手で、一般の人が登録することによってドライバーとなることができるのが大きな特徴の一つです。

ウーバーは、ドライバーは個人事業主(自営業者)であるというスタンスで、個々のドライバーとは業務委託契約を締結していますが、複数のドライバーから「自分たちはウーバーの従業員である」との訴えがあり、一部の国では、自営業者ではなく労働者であると認定されているそうです。

日本では、道路運送法によって一般の人がドライバーに登録することは禁止されているため、日本のウーバーでまったく同じ争いは今のところ起こりえませんが、個人に対して支払う金銭が従業員に支払う給与か、自営業者に支払う外注費か、という問題は、税務では昔からある論点です。

労働法的な違い

専門外ですので概要にとどめますが、会社等に雇用されている従業員の場合、次のような労働法上の保護を受けることができます(個々の状況により適用要件に該当しない場合もあります)。

  • 労働保険、雇用保険、社会保険への加入
  • 有給休暇の取得
  • 解雇の際に解雇予告や金銭の支払いを受けられる
  • 残業代の支給を受けられる

税法的な違い

消費税

仕入税額控除の対象となるかならないかの違いがあります。

  • 従業員に対する給与…仕入税額控除の対象とならない
  • 外注費(日本国内で役務の提供を受けた場合)…仕入税額控除の対象となる

給与か外注費かの判断基準

公表されている判断基準には、次のようなものがあります。

  • 雇用契約等に基づいている → Yesなら給与
  • 他の人が代わってできる役務内容である → Yesなら給与
  • 役務提供にあたり指揮監督を受ける → Yesなら給与
  • 引き渡しが完了していなくても、それまでに提供した役務に対する対価を請求できる → Yesなら給与
  • 役務の提供に係る材料や道具を貸与されている → Yesなら給与

(参考:消費税法基本通達1-1-1)

このほか、判例や裁決事例では、次のような事項も考慮されています。

  • 何らかの空間的・時間的な拘束を受けている → Yesなら給与
  • 自身が費用負担し、責任をもって独立して行っている → Yesなら外注費
  • 営利性、有償性がある → Yesなら外注費
  • 反復継続して行う意思がある → Yesなら外注費
  • 社会的地位が客観的に認められる業務である → Yesなら外注費

(参考:住吉真「外注費と給与の判断基準の検証~消費税の視点から~」(「東京税理士界」2017年3月1日号所収))

2点目~4点目については、消費税の課税対象となるか否かの要件の1つである「(事業者が)事業として」に該当するか否かが問われているといえます。

参考:消費税の課税対象の判定
  1. 日本国内で行う
  2. 事業者が事業として行う
  3. 対価を得て行う
  4. 資産の譲渡、貸付または役務の提供

関連投稿:「輸出と輸入の消費税」

源泉所得税

支払う金銭から源泉徴収が必要か否かが異なります。

  • 従業員に対する給与…源泉徴収が必要
  • 外注費…限定列挙されている報酬についてのみ源泉徴収が必要

法人税

適正な金額であれば、給与であっても外注費であっても、損金(法人税の計算上、経費と認められる費用)となります。この点では相違はありません。

おわりに

従業員として雇用すると、社会保険の負担が大きかったり、解雇しづらくなったりするため、自営業者に外注、という形をとりたくなりがちです。

しかし、業務委託契約があるからといって=外注費とはならず、実態で判断されます。

自営業者ではなく従業員である、となれば、労働法的には残業代の遡及請求を受けるなどのリスク、税法的には過大な仕入税額控除で消費税の追徴、過少申告加算税、延滞税、源泉徴収漏れで源泉所得税の追徴、不納付加算税、延滞税が発生します。

会計・税務処理はスタートではなく、あくまでも取引を反映するものです。

始めに形ありき、ではなく、実際にどのようにその個人に働いてほしいのかを明確にし、その実態に即した契約を締結し、金銭の支払いをし、それを受けて会計・税務処理をする、という順序を守ること。これが、当たり前なことですが、重要なことです。

今日の花

バラ(バラ科、原産地:ヨーロッパ・アジアの温帯)

「そういえば明後日は母の日だからカーネーションでも」と花屋さんを見ていると、素敵な紫のカーネーション。が、お値段1本648円に息をのみました…。どこの花屋さんも母の日向けの品揃え&価格です。カーネーションは断念し、優しいピンクのバラにしました。これはスプレー咲きなので、1つ1つの花は直径5センチもありません。小さいのに完璧にバラの形をしていて、見とれてしまいます。

編集後記

連休明けの1週間。私は火曜日からの4日間でしたので1日少ないはずですが、長かったなあ、という気がします。私は、基本、休日は出かけたくなく、食事も食べなくて済むならそれでもいい、というタイプですので、連休中は、旅行はおろか外出すらほとんどせず、家にストックした食料を少しずつ消費して過ごしました。そういう状態で久しぶりに外に出たら、歩き方がぎこちなくなっていて、足がなまっているのを実感…。そんなことを考える年齢ではないはずですが、「日常的に歩かないと歩けなくなっちゃうかも?!」、という不安が頭をよぎりました…。