個人や法人に対して一定の報酬・料金を支払う場合、支払う人は源泉徴収する必要があります。

源泉徴収制度とは

所得税法で定められた一定の種類の金銭を支払う場合、支払人は、あらかじめ税金を差し引いて受取人に支払い、(課税される)受取人に代わって、差し引いた税金を納める必要があります。この仕組みを源泉徴収制度といいます。

日本の個人・法人に支払う報酬・料金

源泉徴収の対象となる報酬・料金には次のようなものがあります。

日本の個人に支払う場合

  • 原稿料や講演料など
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
職場の健康保険に加入している患者にかかる医療費のうち、自己負担分以外は社会保険診療報酬支払基金から支払われます。この基金から個人の開業医に対して医療費を支払われる場合に源泉徴収されます。
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホステス、コンパニオンなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を契約することにより一時的に支払う金銭
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

日本の法人に支払う場合

  • 馬主である法人に支払う競馬の賞金

税率

支払った報酬・料金の額(原則として消費税込)の10.21%(復興特別所得税を含む。)が基本ですが、1回の支払金額が100万円を超える場合や、支払う相手先により細かな違いがあります。

なお、報酬・料金の額と消費税とが明確に区分されている場合は、報酬・料金の額のみを源泉徴収の対象として税額を計算することができます。

納付方法

支払った月の翌月10日(休日の場合は翌営業日)までに納付します。

なお、給与にかかる源泉所得税について納期の特例(6ヶ月に1度納付)の適用を受けている場合であっても、報酬・料金に係る源泉所得税の納付は発生した月ごとに納付する必要があります。

外国の個人・法人(非居住者・外国法人)に支払う報酬・料金

上では「日本の」という言い方をしましたが、所得税法では、日本の個人を「居住者」、外国の個人を「非居住者」、日本の法人を「内国法人」、外国の法人を「外国法人」、とそれぞれ区別します。

非居住者とは

非居住者とは、居住者以外の個人をいい、居住者とは、以下のいずれかに該当する個人をいいます。

  • 国内に「住所」がある個人
  • 現在まで引き続き1年以上「居所」がある個人

「住所」とは「生活の本拠」であり、その人の生活の中心がどこかで判定されます。

「居所」は、生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所をいいます。

外国法人とは

本店所在地が日本の国外にあれば「外国法人」、日本にあれば「内国法人」です。

非居住者・外国法人に対する課税

非居住者・外国法人に対する課税の対象となるのは、日本国内で得た所得である「国内源泉所得」のみが課税の対象となります。

国内源泉所得には、次のようなものがあります。

  • 日本国内の支店等で得たもうけ
  • 日本国内にある土地・建物の賃貸収入や売却収入
  • 芸能人、弁護士、エンジニア等が日本国内で行ったサービス提供の対価として受け取る収入
  • 日本の国債等や預貯金の利子、内国法人から受け取る配当金
  • 日本国内で業務を行う会社等から受け取る著作権の使用料等の収入
  • 日本国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品

課税の方法は、非居住者・外国法人自らが所得税または法人税の申告を行う方法(申告納税方式)と源泉徴収方式とがあります。

源泉徴収方式には、源泉徴収のみで完結する源泉分離方式と、源泉徴収の上で非居住者・外国法人自らが所得税または法人税の申告を行う方法とがあります。

源泉徴収の対象となる報酬・料金

源泉徴収の対象となる報酬・料金には、次のようなものがあります。

  • 弁護士、公認会計士、建築士等が、日本国内でサービスや事業活動を行った場合に支払う報酬・料金
  • 映画俳優、音楽家等の芸能人やプロスポーツ選手が、日本国内でサービス提供や事業活動を行った場合に支払う報酬・料金
  • エンジニアやコンサルタント等、科学技術や経営管理等の専門知識や技能を持つ人が、日本国内でサービス提供や事業活動を行った場合に支払う報酬・料金
  • 日本国内で業務を行う会社等が支払う著作権の使用料等
  • 日本国内で行う事業の広告宣伝のために支払う賞金品

なお、日本の法人に対して報酬・料金を支払う場合には、通常、源泉徴収は必要ありませんが、上記の報酬・料金については、非居住者に支払う場合、外国法人に支払う場合とも、源泉徴収が必要です。

税率

上記の報酬・料金にかかる税率は20.42%(復興特別所得税を含む。)です。

外貨建ての場合、日本円で支払う場合には、支払った日本円の金額に税率を掛けますが、外貨で支払う場合には、支払期日または支払日のTTB(対顧客直物電信買相場)で換算した金額に税率を掛けます。

なお、上で国内源泉所得として挙げたものの中には、不動産の売却収入、国債・預貯金の利子等、税率が異なるものがあります。

納付方法

支払った月の翌月10日(休日の場合は翌営業日)までに納付します。納期の特例が適用されない点も同じです。

おわりに

特に気を付けたいポイントを挙げておきます。

  • 日本の個人に報酬・料金を支払う場合には、源泉徴収が必要ないか注意する
個人の方の場合、「確定申告するから」と源泉徴収に無頓着で、請求書に源泉徴収税額を記載されない方も中にはいらっしゃいます。そのまま源泉徴収せずに支払い、後から源泉徴収が必要だったと判明するケースが起こり得ます。
  • 外国の法人に報酬・料金を支払う場合には、源泉徴収が必要ないか注意する
日本の法人に報酬・料金を支払う場合には、通常、源泉徴収が必要ありません。外国の法人に支払う場合もそのつもりでいると、実は源泉徴収が必要だった、というケースが起こり得ます。

源泉所得税の納税義務者は報酬・料金の支払人です。

請求書に記載されていなかったから、法人には必要ないと思っていたから、と、源泉徴収漏れが生じた場合、納付不足額を支払わなければならないのは支払人です。ペナルティを課されることもあります。

「損をするのは自社(自分)」と思えば、注意を払うこともできるのではないでしょうか。

おわり。

今日の花

デンファレ(ラン科、原産地:ニューギニア)

デンドロビウム・ファレノプシスの略。ファレノプシスは胡蝶蘭のことですが、交雑ではないそうです。1本の茎の周囲にぐるりと花がついており、どこを正面にしていけたらよいか悩みます。