最近、『ビジネスに絶対欠かせない!正しい「値決め」の教科書』という本を読みました(だいぶ昔の本ですが…)。
新製品の値決めを社長から任された若手営業社員が、管理会計、原価計算、マーケティング理論などを社内外の人に教えてもらいながら、値決めの方法を学んでいく、というストーリーです。
その中に出てきた「価格感受性」という用語がとても印象に残りました。
マーケティングだけでなく、人間関係が長く続くためには、価格感受性が合うということが大事なのではないと思いました。
人間関係には、もちろん、お客様と税理士との関係も含みます。
価格感受性とは
「価格感受性」は、その商品の値段をお客様がどれだけ気にするか、ということです。
(出典:『ビジネスに絶対欠かせない!正しい「値決め」の教科書』中村穂 すばる舎 2016年)
人によっても異なりますし、商品の特性によっても異なります。
例えば、スターバックスラテ(S)税込367円(2019年3月7日現在)を、「高い」と思う人もいれば、「妥当」あるいは「安い」と思う人もいるでしょう。
友達と食事をするときや旅行に行くとき、予算いくらくらいならOKという感覚が合わなければ、関係は長続きしませんよね。
そういう意味で、人間関係にとって大事な要素なのではないかと思います。
価格感受性の傾向
価格感受性には、一般的に、次のような傾向があると言われています。
- 価格感受性が強くなる(人が値段を気にする)→値段の高い商品、頻繁に買う商品
- 価格感受性が弱くなる(人が値段を気にしない)→代替品がない商品、きわめて個性的な商品、ブランド品
(参考:『ビジネスに絶対欠かせない!正しい「値決め」の教科書』中村穂 すばる舎 2016年)
そもそも、「値決め」の教科書、という本が目に入って手に取ったのは、自分(のサービス)の値決めに悩んでいるからなのですが、
- 「サービス=商品」からのアプローチ
- 「人=価格感受性が合う人」へのアプローチ
の両方が必要で、片方だけではだめなのではないか気付かされました。
「サービス=商品」からのアプローチ
「サービス=商品」からのアプローチとは、自分が提供できるサービスを、一般的な傾向として人が値段を気にしなくなるようなものにすることです。
例えば、「私にしかできないこと」「他にはない個性的なサービス」(ブランドはさすがに無理かな)などでしょうか。
これだけ世の中に税理士がいると、「他にはない個性的なサービス」というのも難しいものです。ただ、経営者の方と1対1で向き合う仕事ですので、お客様が自分という人間をいいと思ってくださることはありえるでしょう。
「人=価格感受性が合う人」へのアプローチ
少し話が逸れるかもしれませんが、私は、靴と腕時計は消耗品と位置付けているため、一定の値段以上のものは買わない、と決めています。素材や機械にこだわりがある分値段が高くなるという原理は理解できますし、良質で高価な靴や腕時計を好きな人のことをどうこう思うことはありません。ただ、自分はそれに価値を見いだせないだけです。
同じ商品やサービスに対して「高い」と思うか「妥当」と思うか。
これはもうその人の価値観であって、あるものに対して「高い」と思う人は、何倍か品質がよくなったとしても、サービスの内容が増えたとしても、やっぱり「高い」と思うのではないかと。
税理士に払うお金に対して「価格感受性」が強い人は、サービスが良くなったり内容が増えたとしても、やっぱり顧問料を「高い」と感じるのではないか、ということです。
売上につながらないコスト=無駄、と考えていれば、毎月会計をチェックして時々質問に答えて申告書を作るという税理士には、できるだけお金は払いたくなく、月々数万円の顧問料は当然「高い」でしょう。
ならば、他にどんなサービスがあれば「高い」と思わないのでしょうか?「こうすれば売上がもっと上がりまっせ」といった話でしょうか?
そういう面では、たしかに自分にも足りないところがあると思います。
とはいえ、がんばっていろいろなサービスを補ったとしても、「価格感受性」がからむとすると、必ず解決できるかは疑問です。
何倍かがんばって、仮にその人の価値観の中で「妥当」となったとしても、あくまでその人の「価格感受性」に適合したというだけであって、自分では納得できないかもしれず、そうなったら、それはもう、しんどい仕事でしかありません。
価格感受性が合う人と出会うためには
ではどうすれば、価格感受性が合う人と出会えるのでしょうか?
それには、自分が必ずすること・できること・しないことを細かく具体的に伝えることでしょう。
・・・これ、今はまったく伝えられていませんね…。
出直しの3月。見直していきたいと思います。
今日の花
シレネ・ウルガリス(ナデシコ科、原産地:地中海沿岸)
「グリーンベル」という名で見かけます。和名は「風鈴花(ふうりんか)」というそうです。どちらも見た目のとおりの名前ですね。太い茎からY字に茎が分かれていて、こういう花は花瓶にいけづらいです。写真の真ん中下あたりに花が咲いていますので、拡大して(笑)見てあげてください。この、ついてる蕾も全部咲いたら、かわいいだろうな。