減価償却とは、減価償却資産(建物、車両のように、経年や使用によって価値が減少していく資産)を取得したときにかかった金額(取得価額)を一定の方法によって毎年の経費として配分していく手続をいいます。

法人でも個人事業でも減価償却の会計処理は必要ですが、共通する点と異なる点があります。

耐用年数と減価償却方法

耐用年数

減価償却を通して減価償却資産の取得価額を毎年の経費として配分する際に、「何年間に配分するの?」という問題があります。

減価償却は、経年や資産の使用によって減少していく価値の金額を「経費」ととらえるものですので、資産を使用することができる期間(使用可能期間)にわたって配分していきます。

実際の使用可能期間は、資産の使用状況などにより異なりますが、税金計算上は、資産の種類・材質・用途等により「法定耐用年数」が定められています。

例えば、

  • 建物のうち木造の飲食店なら20年
  • 建物のうち鉄筋コンクリート製の店舗なら39年

などです。

減価償却方法

取得価額を法定耐用年数に配分する際の計算方法をいいます。

主なものに、

  • 定額法…一定の金額で配分
  • 定率法…一定の割合で配分

などがあります。

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自宅兼店舗

例えば、自宅を新築し、その1階を店舗とし、2階に居住することとしたとします。

このような場合、店舗を営むのが個人事業主である自分自身であるか、自分が代表を務める法人であるかで、考え方が異なります。

法人

法人と個人は、まったく別個の存在です。

したがって、法人は個人から自宅の一部を借りていることになります。

法人と個人との間で賃貸借契約を結び、法人は個人に賃料を支払います。

支払った賃料は法人の経費となります。

個人

個人事業主の場合、一個人に「個人事業主」と「私人」が併存していますので、一人の人の中で賃貸借契約を結ぶ、ということはありません。

とはいえ、個人事業主の必要経費とできるのは、建物全体のうち店舗部分にかかる減価償却費のみです。

このため、建物全体で計算した減価償却費に「事業専用割合」をかけて、店舗部分にかかる減価償却費を求めます。

事業専用割合は、一般的には、建物全体の面積に占める1階店舗部分の面積の割合とします。

上の例で、個人が法人に自宅を貸す場合、個人が受け取る賃料収入は不動産収入になりますので、原則として、建物にかかる経費のうち賃貸部分を差し引いた不動産所得を確定申告する必要があります。

このとき、建物にかかる経費には減価償却費が含まれますので、上記と同じ方法で計算します。

自分の車を事業専用車とする

例えば、自分で使っていた車を、会社の設立もしくは個人事業の開業を機に、事業専用車として利用することにしたとします。

法人

個人から法人に車の名義を変更する場合、名義変更の手続は書類を提出すればできますが、取引の実態は、個人から法人に車を売却することになります。

法人と個人との間で売買契約書を結び、法人は個人に代金を支払います。売却価格を中古車サイトの相場などを参考に決定します。

法人は、買い取った価格を取得価額として減価償却を行います。車は新車ではありませんので、減価償却費は特別な方法で計算しますが、今回は割愛します。

個人

新車を購入し、個人で使っていたものを事業専用にする場合、「私人として(家庭用)」の利用から「事業専用」の利用に用途を変更することになります。このように、資産の用途を変更することを「転用」といいます。

減価償却資産を転用する場合、まず、個人で使っていた期間の減価償却費を計算します。この計算は、耐用年数を事業用の1.5倍として計算します。

車の取得価額から個人で使っていた期間の減価償却費を差し引いた金額を「未償却残高」といい、これが個人事業で減価償却費として計上することができる総額となります。

事業専用車としたのちの毎年の減価償却費は、個人で購入した時の取得価額(定額法の場合)または「未焼却残高」(定率法の場合)を基礎として計算します。

まとめ

  • 減価償却資産の取得価額は、一定の方法によって毎年の経費として配分していく。
  • 個人が所有する減価償却資産を事業のために利用する場合、利用するのが自身が代表を務める法人か個人事業主としての自分自身かで考え方が異なる。これは、法人と個人は別個の人格であるのに対し、個人事業主としての自分自身は個人の中に併存していることによる。

今日の花

コデマリ(バラ科、原産地:中国)

これも春を知らせる花です。手毬のような丸い形に小さな花が集まっています。しなやかな枝の動きをいかすように意識します。油断すると葉がすぐにしんなりしてしまうのが難点です。