1年前には想像もしなかった休日の過ごし方でした。

先月の3連休の初日、勤労感謝の日、朝10時、快晴の空の下、少年野球大会開催中の公園を横目に見ながら、私は花屋さんに向かって歩いていました。

うなだれた花

発端は、その10日ほど前のいけばなのお稽古でした。

私が習っている小原流は、盛花(水盤に花を比較的低く、横の広がりをもっていける形)の祖です。

盛花には、様式といって、使う花材といけ方が決まっている花型があります。

冬にいける様式のひとつに、水仙の様式があります。

水盤に日蔭蔓というシダ科の植物の葉を束ねて敷き詰め、水仙の花と葉を分解して組み直して(葉組みといいます)まっすぐ立てていけ、小菊を添えます。

普通、自分の級でできるものではないのですが、特別にさせていただけることになりました。

ところが、日蔭を敷くのも初めて、水仙の葉組みも初めて、そもそも水仙の様式の基礎である盛花の基本の型も初めてと、散々な出来でした。

水仙は花首を垂れてしょんぼりとして見えました。しかも、花を持ち帰るために紙に包もうとしたら、水仙から甘い香りがして、いけている間はまったく気づかなかったことに驚きました。

普段、生命ある花を切っていけてもそれをかわいそう、とは思わないようにしているのですが、さすがに、申し訳ないことをしたと思いました。

もう1回きちんとやり直したいと、いけばな専門の花屋さんで、同じ花材セットを取り置きしてもらい、3連休の初日に引き取りに行ったのです。

再挑戦

午後からいけ始めました。カーテンを全開にして外の明るさを取り入れ、好きな音楽をかけます。

まずは日蔭から。

ノートを見ながら、先生から教わったことの意味を考えながら、最初の1束を、思考錯誤しながら束ねてみます。

何度か試して、なんとなく納得いくものができたので、以後その手順で、束ねては水盤に置き、束ねては水盤に置き、という作業をひたすら繰り返します。

これだけでおよそ2時間。

日蔭のアップ。右手に菊が映り込んでいますが、敷き詰められた細長い葉が日蔭です。本来は器より低くしなければならないので、これだと丈が長いです。

次は水仙の葉組みです。

お稽古では、葉を触りすぎてヨレヨレにやってしまったのでこわごわ扱うと、お稽古のときの水仙よりも葉が固く、なかなかうまくいきません。

ヨレヨレになるよりは、と、葉に張りがあるうちに諦めました。

いける位置は決まっているので、向きに気をつけていけます。

これでまた2時間。もはやほぼ日が暮れました。

水仙はお見せできる代物ではありません(笑)。

最後に小菊をいけて、仕上げをして完成です。

小菊のアップ。

 

トータル5時間。作品の出来は、2回目だからといって進歩したわけではありませんが、少なくとも水仙はすらっとしていて、日蔭も小菊も、お稽古の時より丁寧にできたかな、と思いました(自己満足ですが)。来年につながるものは得られたように思います。

新しい休日の過ごし方

これで3連休のうちの1日は終了。ですが、とても充実感がありました。

勤めていた頃は、3連休あれば、とりあえず初日はひたすら寝る。もしくは偏頭痛で寝ていざるを得ない。2日目にどこかへ行こうかと思いつつもあてがなく、ずるずる家で過ごして1日が終わる。3日目は出かけると疲れて翌日に響くからと家にいる。

だいたいこんな感じでした。

そもそも、普段のお稽古は平日の夜です。時間を上手にやりくりすることができる方も多いのでしょうが、私には、勤めていた頃は、平日の夜に習い事なんて絶対に無理でした。ひとりで仕事をしていれば、前後の日にちで仕事を多少調整することもできます。勤めをやめて、ひとりで仕事をしているからこそ、いけばなを始められたのです。

それなりに早起きして、初めて行く花屋さんに向かって青空の下を歩きながら少し冷たい空気を吸う。

日蔭を無心に束ね、水仙の葉をいためないように集中。時折水仙の甘い香りを感じながら、静かな時間が過ぎていく。

電車賃266円、花代2,500円。映画を1本見て軽くランチするのと同じくらいでしょうか。

かつては想像もしなかった休日の過ごし方。新しい人生を歩んでいるんだなと実感した1日でした。

と同時に、これを守るために、がんばって仕事しなければ・・・、と思うのでした。

今日の花

日本水仙(ヒガンバナ科、原産地:地中海沿岸)

日本水仙なのに地中海沿岸が原産でした。左下、葉がこんなに離れている時点でダメなのですが、これ以上トリミングするとピントが合わないので。また来年がんばろう・・・。