減価償却とは、「資産の取得価額を毎年規則的に費用に計上する」会計処理です。

と聞いても、なかなか、「なるほど!」とはならないのではないかと、「資産の取得価額を毎年規則的に費用に計上する」に関わる次の4つの考え方について取り上げることにしました。

  • 複式簿記
  • 期間損益計算
  • 発生主義
  • 費用収益対応の原則

前回、複式簿記との関わりを取り上げましたが、複式簿記は、あくまでも取引を記録する方法論ですので、今回、もう少し本質に迫る残りの3つについて取り上げます。

期間損益計算

継続企業の前提

事業の運営は、「会社は永続する」という前提に立って行われています。

例えば、返済期限5年とか10年で銀行が会社に融資するのは、会社が永続する、という前提があるからです(逆に永続できなそうな経営状態の会社は、長期の借入ができないわけで)。

この「会社は永続する」という考え方を「継続企業の前提」といいます。

株主への説明と利益還元

他方、株式会社は、広く一般の人から会社にお金を投資して「株主」になってもらい、それを元手に、もうけを上げるための事業を行います(実際はオーナー1人のみが株主という会社も多いですが、元々の発想はいわゆる公開会社です)。

会社は、株主に対して、投資してもらったお金をどのように運用し、どれくらいもうかったかという説明を行う義務があります。また、もうかったのであれば、そのもうけの一部を株主に還元する必要もあります。

このため、会社は永続するという前提はあるものの、一定の期間で区切って、株主に対して、投資してもらったお金をどのように運用し、どれくらいもうかったかという説明を行います。

これが、期間損益計算です。

期間損益計算を行う期間のことを「事業年度」「会計年度」などといい、通常1年間で設定されます。年度ごとに損益に関する報告と配当が行われるほか、四半期ごとに報告が行なわれたり、半期ごとに配当が行われたりします。

発生主義

期間損益計算を行うにあたり、設定した期間における損益、すなわち「もうけ」を正確に計算する必要があります。

もうけは、収益(売上や営業に関する収入)から費用(売上や営業に関する収入を得るためにかかったコスト)を差し引いたものです。

このため、どのようなタイミングで売上が上がったあるいはコストがかかったと考えるか、という基準が必要となります。

例えば、

  1. お金をもらったとき、お金を払ったとき
  2. 売上やコストにつながる事実・事象が発生し、それに対してお金をもらえる権利やお金を払う義務が確定したとき
  3. 売上やコストにつながる事実・事象が発生したとき

などがあります。

上から、

  1. 現金主義
  2. 実現主義
  3. 発生主義

といわれるものです。

日本の会計基準では、収益については実現主義、費用については発生主義を取っています。

費用の発生

費用について、コストにつながる事実・事象が発生するとはどのようなタイミングかというと、例えば、

  • 物を買った
  • 役務の提供(電気を供給してもらう、従業員に働いてもらう、電話回線を利用させてもらうなど)を受けた
  • 物を使って価値が減少した

などがあります。

現金主義との違いは、代金の支払いがまだであっても、事実が発生していれば費用を認識する点です。

費用収益対応の原則

期間損益計算においてもうけを計算するにあたり、費用があがったと考えるタイミングは発生主義によりますが、例えば、物を買ったり従業員に給料を払ったときにその全額を費用としてしまうのは、実態にそぐわない場合があります。

製造業の場合、販売する製品を製造するために、先に材料費や工員の給料といった費用が発生し、後から製品の売上があがります。

このような場合に、収益とそれを得るためにかかった費用とを対応させて期間損益計算に反映させる考え方が「費用収益対応の原則」です。

この考え方により、製造業の場合、先に発生した費用を「在庫」(製造途中の仕掛品を含む)としてプールしておき、製品の販売に対応させて費用として計上していきます。

事務で使う電話料金や商談のための飲食費なども売上を上げるために間接的にかかったコストですが、これらは売上と1対1で対応させることができません。このような場合、期間損益計算の考え方をふまえ、損益計算期間に発生したコストを売上に対応するコストとしてとらえます。

減価償却

車を買った場合、車は何年間かにわたって使うことができます。営業担当が乗って営業先を回るのであれば、何年間かにわたって、売上をあげるために利用されるわけです。

車を利用することによって生じる価値の減少や機能の劣化を、売上をあげるためにかかった「コスト」としてとらえるのですが、製品の販売のように、売上と価値減少等のコストとを1対1で対応させることができません。そこで、一定の仮定をおくことにしました。車を利用できるのはだいたいこのくらいの年数という「耐用年数」を設定し、その期間内で、均等にまたは一定の割合で、買った価格から価値が減少していく、すなわちコストが発生していく、とみなします。

これが減価償却です。

まとめ

  • 期間損益計算の考え方により、一定の期間に区切って会社が得た「もうけ」を計算する必要がある
  • 発生主義の考え方により、物を買ったとき等、コストにつながる事実・事象が発生したときに費用があがったと考える
  • 費用収益対応の原則により、売上をあげるためにかかったコストのみを期間損益計算に反映させる
  • 売上に1対1で対応させることができないコストは、期間損益計算の考え方をふまえ、損益計算期間に発生したコストを売上に対応するコストととらえる
  • 減価償却は、資産を使うことによって生じる価値の減少を費用の発生ととらえ、期間損益計算の考え方をふまえて損益計算期間を通じて費用を計上するため、また、損益計算期間の売上と対応させるため、「資産の取得価額(からの価値の減少)を、(耐用年数期間にわたって)毎年、(売上に対応する費用はわからないから仮定計算に基づき)規則的に費用に計上する」会計処理

おわり。

今日の花

ソリダゴ(キク科、原産地:北アメリカ)

いけばなは、メインの花材2種類から習い始め、そこから3種、4種と増えていきます。これは花が小さいので、3種目以降の花材として使われることが多いように思います。秋の花粉症の原因となるブタクサ(セイタカアワダチソウ)に見た目そっくりですが、花粉は出ないそうです。私、これを部屋にいけた頃から、何となく花粉症の初期症状を感じていたのですが、このせいではないのであれば、そろそろスギ花粉が少しずつ飛び始めているのかもしれません。つらい季節の到来は近い・・・。