会社と会社の役員との間で、金銭、車両などの貸し借りを行う際の対価についてまとめています。

前回は会社から役員へ貸すときでしたが、今回は役員から会社へ貸すときです。

役員から会社へ貸すとき

例1

代表取締役社長は会社に1,500万円を期間2年、年利1.6%で貸し付けた。会社にはこれ以外に借り入れはない。適正な利率は1.6%とする。

役員の所得(受取利息):1,500万円×1.6%=240,000円

税務上の取扱い:雑所得として課税

会社の経費(支払利息):1,500万円×1.6%=240,000円

税務上の取扱い:全額損金算入

例2

代表取締役社長は会社に1,500万円を期間2年、年利5%で貸し付けた。会社にはこれ以外に借り入れはない。適正な利率は1.6%とする。

役員の所得(受取利息):1,500万円×1.6%=240,000円

役員の所得(給与):1,500万円×(5%−1.6%)=510,000円

税務上の取扱い:受取利息240,000円は雑所得として課税、給与510,000円は給与所得として課税

会社の経費(支払利息):1,500万円×1.6%=240,000円

会社の経費(役員報酬):1,500万円×(5%−1.6%)=510,000円

税務上の取扱い:支払利息48,000円は損金算入、役員報酬102,000円は損金不算入

例3

代表取締役社長は会社に300万円を期間2年、無利息で貸し付けた。

役員の所得:なし

税務上の取扱い:なし

会社が得る経済的利益の額:なし

税務上の取扱い:なし

解説

利息の収受がある場合

役員が会社に金銭を貸し付け、会社から利息を受け取る場合、役員が受け取る利息は「雑所得」という種類の所得となり、所得税が課税されます。また、会社が支払う利息は「支払利息」という経費となり、全額を法人税計算上の経費(損金)とすることができます。

ただし、これは利率が適正な場合に限られます。

適正な利率についての規定はありませんが、

  • 特例基準割合(会社が役員に貸すときに受け取るべき利息の最低利率)
  • 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率

などが該当すると考えられます。

例1では、会社は他に借り入れがなく、この説例で適正な利率とした1.6%で利率を設定しているため、原則どおり、役員が受け取る利息は雑所得となり、会社が支払う利息は全額損金算入できます。

例2では、会社は他に借り入れがなく、5%で利率を設定しています。

この場合、この説例で適正な利率とした1.6%を超えて役員が受け取る金額は、金銭を貸し付けたことの対価としての利息ではなく、余計にもらった・得した「経済的利益」とみなされます。

役員の場合、役員という地位に基づき得た「経済的利益」は給与所得となります。

会社の方も、適正な利率部分は支払利息として全額損金算入できますが、これを超える部分は役員に対する給与とみなされます。

役員報酬は定期同額等の場合に限り損金算入できますので、適正な利率を超えるために給与とみなされる部分は定期同額の報酬に当たらず、損金算入することができません。

無利息の場合

例1にせよ例2にせよ、役員が利息を受け取る場合、確定申告が必要となります(給与所得のみである場合、他の年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要)ので、利息の収受を行うことは煩雑です。

それ以前に、役員が会社にお金を貸すというのは、会社にお金がないという状況が想定されます。

このため、例3のように、役員から会社に無利息で貸し付けることの方が多いと思います。

この場合、

  • 役員は本来所得となるべき利息をあえて受け取っていない
  • 会社は本来支払うべき利息を免除してもらっている

ととらえると、

役員についてはみなし雑所得、会社については利息免除益があるとして、前者には所得税、後者には法人税が課税されるのではないか?という疑問がわきます。

しかし、「みなし所得」については、譲渡の場合には規定があるものの、その他の場合には、まったくもらっていないものをもらったこととみなす規定はありません(もらった物や権利を金銭に換算することはあります)。

このため、役員が無利息で貸し付けたとしても、経営者の責任として資金不足を補填する等の合理的な範囲であれば、「みなし受取利息」を認定されて所得税が課税されるようなことはありません。

他方、会社は営利を目的とするため、より低いコストで資金調達ができる方法を採ることが合理的ですので、無利息でお金を借りることは会社にとっては良いことです。

仮に「利息免除益」なるものがあったとしても、そもそも支払利息(経費)を計上していないので、損益としては「利息免除益」を計上しているのと同じです。これに加えてさらに利益を計上しろ、と言われることはありません。

物の賃貸借の場合

車など、物の賃貸借を行う場合もこれと同じです。

使用料の収受を行うのであれば適正な金額を設定する必要があり、使用料の収受を行わなくても通常は問題ありません。

おわりに

ん?と思ったのは、「みなし譲渡所得はあるのに、みなし雑所得はないの?」というところでした。

税理士試験を合格されている方であればつまずくようなポイントではないのでしょうが、自分はそうではないため、こういう根本的なところではまって悩むことがあります。まだまだ勉強不足です。

今日の花

カンパニュラ(涼姫:スズヒメ)(キキョウ科、原産地:ヨーロッパ)

自分が知っているカンパニュラという花は、ベルのような形をしたもっと大きな花が1本の茎にいくつもついているものでしたが(いずれご紹介すると思います)、これは細い星型の花が連なっていてさわやかで、同じカンパニュラとは思えませんでした。ただ、細くて小さいので、アレンジするには、なかなかこの花の良さをいかしきれず、写真を撮るのも、妙なところにピントが合ってしまって難しかったです。

編集後記

いつの間にか日付が回ってしまいました。今週は1件スケジュールがキャンセルになったにもかかわらず、日々夜中近くまで何かしているし、いろいろなところが散らかっているしで、調整能力のなさをつくづく感じました。そんなこんなでがんばった(?)後の今週末はいけばなの研究会。こういうときこそムダにやる気が出ます。空回りしないようにしないと…。