会社と会社の役員との間で、金銭、車両などの貸し借りを行うことがあります。

そのときの対価について、ん?と立ち止まったポイントがあったので、まとめておきます。

経済的利益

通常、第三者間で金銭、車両などの貸し借りを行う場合には、利息や賃借料の収受が発生します。これらの対価は、市中の相場に、賃貸借の当事者間の事情、物の貸し借りであれば対象物の状態等を加味して決定されます。

会社と役員との間で貸し借りを行う場合に、第三者間であれば収受するであろう利息や賃借料を収受しない、あるいは第三者間の取引よりも安い利息や賃借料を収受する場合、借り手側は得をします。

借り手側の「得」「経済的利益」といいます。

「経済的利益」をどのように金額に換算するのか、その金額を税務上どう取り扱うかが今回と次回のテーマです。

会社から役員へ貸すとき

例1

会社は、代表取締役社長に300万円を期間2年、無利息で貸し付けた。貸付金の元手は自己資金であり、社長に病気や被災等の事情はない。

経済的利益の額:300万円×(1.6%−0%)=48,000円の利息相当額

※「0%」は無利息を表します。「1.6%」については後述します。

税務上の取扱い:給与として課税

解説

会社が役員に無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合、所定の利息の額と実際に支払う利息の額との差額が経済的利益となり、利息の支払いを減免されている役員への給与として課税されます。

所定の利息の額

所定の利息の額は、元本に国税庁の定める利率を乗じて計算します。上記算式に登場する「1.6%」は、2019年に貸し出した場合に用いるべきと定められている利率です。

この利率は「特例基準割合」(延滞税、利子税などの計算に用いられる利率)と同じで、銀行の新規の短期貸出金利に基づき計算される利率に+1%となっています。

例外規定

次に該当する場合は、無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合であっても、給与として課税されません。

  • 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員に、生活資金として合理的な金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
  • 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員に金銭を貸し付ける場合
  • 上の利率(2019年は1.6%)により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合

例2

会社は、新車で購入した社用車1台(普通乗用車)を無料で代表取締役社長に貸与し、社長は私用にこれを利用している。車両の購入価格は300万円、取得時の諸費用、保険、税金等は考慮しない。

経済的利益の額:300万円÷6年=50万円の車両の使用料相当額

税務上の取扱い:給与として課税

解説

会社が役員に無料または低料金で物を貸し、役員がこれを私用に使っている場合、物の使用に当たって第三者間の取引であれば通常支払うべき料金と実際に支払う料金との差額が経済的利益となり、料金の支払いを減免されている役員への給与として課税されます。

車両の場合の通常支払うべき使用料

車のリース、レンタカーなどがありますが、車のメンテナンス費用や管理諸費などを含めた価格として設定されているため、車の使用のみの対価としては高すぎる金額になっていると考えられます。

このため、車の取得価格を法定耐用年数(6年)で均等に割った金額を通常支払うべき使用料とした例があります(平成24年11月1日裁決事例)。

なお、この例では考慮外としましたが、車両の取得時の手数料、車両の取得・維持に係る税金、保険料等に相当する金額も、これらを役員のかわりに会社が負担した場合には、同様に、役員に対する経済的利益となります。

次回は、役員から会社へ貸すときについてです。

今日の花

ヒペリカム(オトギリソウ科、原産地:北米・西ヨーロッパ他)

白のヒペリカムは、白小豆のようでおいしそうに見えませんか?(実際には白小豆の方が黄色っぽいです)。おいしそうだし、かわいいのですが、短く枝分かれしているため、いけばなでもアレンジメントでも、案外使いづらい花材です。でもやっぱりかわいさが勝り、花瓶やグラスに挿しておくだけでもいいやと思ってしまいます。「つい最近、緑のヒペリカムを投稿した気がする」と思って調べたら2019年3月18日でした。月日が経つのは早い…。

編集後記

仕事終わりに外出先の近くの公園に立ち寄りました。1ヶ月ほど前にも同じ公園に行ったのですが、その頃葉桜になったばかりだった桜の木は葉が茂り、満開だったドウダンツツジは花が終わり、代わりにアジサイが大きく育ち蕾をつけていました。今日はもう夏日になろうかという気温。緑が映える今の時期がいちばん好きですが、あっという間に過ぎてしまいそうです。