12月が近づいてきました。12月末が年度末という会社も多いかと思います。

年度末といえば棚卸。今日は棚卸資産について取り上げます。

棚卸資産とは

棚卸資産とは、いわゆる在庫で、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等の資産です。会社が販売する目的で所有し、売却を予定しているものの他、販売活動や管理業務で使用される事務用消耗品等も含まれます。

棚卸とは

貸借対照表に計上する棚卸資産の価格を確定するため、年度末に所有する棚卸資産の数を数えることです。

実際に現物を数える場合は「実地棚卸」、帳簿上の増減で数える場合は「帳簿棚卸」といいます。

数えた数に所定の方法で求めた単価を掛け、評価基準を適用して、棚卸資産の価格を計算します。

棚卸資産の取得原価

棚卸資産を買ったときは、次の合計額を帳簿に記録します。

  • 購入代金
  • 引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等の付随費用

自社で製造をする場合は、次の合計額です。

  • 製造にかかった原材料費、労務費、経費の合計
  • 原材料等を消費するため、または販売するためにかかった付随費用

棚卸資産の評価方法(会計)

評価方法は、どのように単価を計算するかという方法です。

棚卸資産の評価方法には、次の4つがあります。

  1. 個別法…取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法。一つ一つの資産の個別性が強い場合に適しています。
  2. 先入先出法…最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法
  3. 平均原価法…取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額 を算定する方法。平均原価は、総平均法または移動平均法によって算出します。
  4. 売価還元法…値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法

通常、1年間を通じて購入する棚卸資産の価格は変動し、複数回に分けて購入することとなります。このため、販売のために払い出す時の価格および期末の棚卸資産の価格を計算する際に、上のいずれかの方法を用います。

棚卸資産の評価基準(会計)

評価基準は、どのような価格に基づき棚卸資産の金額を決めるかという基準です。

上場企業などでは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に従い棚卸資産を評価します。

棚卸資産の評価に関する会計基準によると、棚卸資産は次の金額で貸借対照表に計上します

  • 正味売却価額<取得原価の場合…取得原価
  • 正味売却価額>取得原価の場合…正味売却価額

取得原価は、実地棚卸で確定した数量に、上の評価方法を用いて計算した棚卸資産の単価を掛けた金額です。

正味売却価額は、期末における売価(時価)から見積追加製造原価(未完成品にかかる見込みの製造費用)および見積販売直接経費(販売のためにかかる見込みの経費)を引いた金額です。

物理的な劣化、陳腐化、市場における需要動向の変化などにより、商品が仕入れた時の価格よりも安い金額でしか販売することができなくなったと見込まれる場合には、期末時点での販売見込価格に基づき、貸借対照表に計上する、ということです。

正味売却価額>取得原価の場合に正味売却価額で計上した場合の取得原価との差額は、当期の費用となります。これは、翌期に戻入を行う方法(洗替え法)、戻入を行わない方法(切放し法)のどちらかを選択することができます。

棚卸資産の評価方法(法人税法)

法人税法では、次の6つの方法のいずれかを用いることと決められています。

  1. 個別法
  2. 先入先出法
  3. 総平均法
  4. 移動平均法
  5. 最終仕入原価法…期末棚卸資産について、年度末から最も近い時において取得をしたものの一単位当たりの取得価額を、その一単位当たりの取得価額とする方法
  6. 売価還元法

⑤の最終仕入原価法は法人税法にのみ認められている方法です。

また、⑥の売価還元法についても、会計と法人税法とでは若干計算方法が異なります。

棚卸資産の評価基準(法人税法)

法人税法では、評価基準と評価方法、という分け方はしていません。評価方法として次の2つがあります。

  • 原価法…期末棚卸資産について上の6つのうちいずれかの方法によって取得価額を計算し、その計算した取得価額を期末棚卸資産の評価額とする方法
  • 低価法…原価法により評価した価額と、年度末における時価とのうち、いずれか低い価額を期末棚卸資産の評価額とする方法

原価法と低価法はまったく別の評価方法ではなく、低価法は原価法の枠内で原価法の価額<時価の場合に適用されるという位置づけです。この点は会計と差異がありません。

棚卸資産の評価損(法人税法)

棚卸資産の評価損は、次の場合に限り、税金計算上経費とすることができます。

  • 資産が災害により著しく損傷したこと
  • 資産が著しく陳腐化したこと
  • これらに準ずる特別の事実(例えば、破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったこと)

上記の低価法に基づき計上する費用は、あらかじめ税務署に届出を行わないと、経費とすることができません。

棚卸資産の評価方法の届出/変更承認申請(法人税法)

新たに法人を設立したり、新たな事業を開始した等の場合は、税務署に棚卸資産の評価方法の届出を行います。

提出期限
  • 新設法人…設立第1期の確定申告書の提出期限
  • 新たな事業を開始した等の場合…新たな事業を開始した日の属する年度の確定申告書の提出期限

既存の評価方法を変更する場合は、変更承認申請書の提出が必要となります。

提出期限
  • 評価方法を変更しようとする年度の確定申告書の提出期限

おわりに

中小企業であれば、最終仕入原価法で評価しているのみのところも多いかと思います。

資産の種類別に棚卸資産の評価方法は届出することができますので、法人を設立するときや新規事業を開始するときなどは、どの方法が実態に合っているか考えてみるのもいいと思います。

おわり。

今日の花

トルコキキョウ(リンドウ科、原産地:北アメリカ)

以前掲載した薄紫のトルコキキョウより少し花びらにフリルがあります。右手の方に少し写っていますが、細い茎で大きな花を支えています。たまにぽきっとやってしまいます。。。