監査法人に就職し、9年9ヵ月在籍しました。そのうち8年8ヵ月を監査部門で、残りの1年1ヵ月を品質管理部門で過ごしました。

監査部門での日々

自分は、(周りからどう見えているかはわかりませんが)ひとりっ子でどちらかというと人見知り、誰とでも仲良くなれるようなタイプではありません。

かたや、手に職つけたいという動機で取った資格でしたので、「公認会計士」とは上場企業の決算書を監査して意見を出す人、という大枠はともかく、具体的に毎日どんな風に仕事をしているのかはよくわかっていませんでした。

監査先の会社(クライアント)に行って、書類を見せてもらって、黙々とやるものとなんとなく想像していて、それなら大丈夫かな、と勝手に思っていました。

その想像は大きな間違いでした。

こんなはずでは・・・

質問=試験科目の監査論に出てくる監査手続の1つ

それくらいの認識でしたが、ありとあらゆる場面で「質問」が必要でした。

例えば、書類を見せてもらうにしても、行けばそこに置いてあるものばかりではなく、クライアントにお願いして提供していただく必要も多々ありました。

お願いするときには「こういうことがわかる資料はありますか?」という質問をする。書類を見てわからないことがあれば、当然質問をする。

経理だけでも、少なくとも財務と経理には分かれていて担当業務も異なりましたし、給与なら人事部門、売上は営業部門、原価計算については製造部門、などなど、クライアントの様々な部署の方と話さなければなりませんでした。

社内的にも、1人1社の担当ではなく複数のクライアントを担当し、それぞれの監査チームに所属するため、多くの上司や同僚と関わりあうこととなります。いろいろな人がいました。

初めの頃は毎日毎日「思ってたのと違う・・・」と思っていました。

まあ、受験時代に人脈を作って、会計士の先輩に話を聞いておけばよかったのでしょうが。。。

人と人とのつながり

それでも、複数のチームで様々な人と一緒に仕事をすれば、周りから学ぶことは多く、刺激をもらえましたし、尊敬できる上司や同僚にも恵まれました。

経理の方も、打ち解けてくるといろいろな話をしてくれたり、労を惜しまず協力してくれたり。

誰かが自分を頼りにしてくれる、自分のために力を貸してくれる人がいる、人と力を合わせることでできることがある。そんな、人と人とのつながりの力を感じられたのは、自分にとって、今の原点となる貴重な経験でした。

品質管理部門での日々

品質管理部門は、監査が適切に行われるための体制を作る部署で、社外の方と関わりあうことはあまりなく、部署の人員も最小限しかいませんでした。

監査部門でだいぶ鍛えられたとはいえ、根本的には人づきあいが得意ではない自分。ほっとできるのではないかと思っていました。

しかし、組織のためのいわば「内向き」の業務のために、毎日毎日朝から晩まで資料を読んだりパソコンの画面に向かう日々に、いつまでたっても自分が働く意味を見い出せませんでした。

品質管理に関する規程の改訂などの際、数千人いる監査法人所属者全員のメールアドレスが含まれるメーリングリスト宛にメールを送信することもありましたが、まるで宇宙にあるブラックホールに向かってメールを送っているような感覚がしていました。

「人と関わる仕事じゃなきゃダメだ!」

と思ったのは、自分でも意外でしたが、監査業務で感じた人と人とのつながりの力が、自分が働く原動力となり、自分を支えてくれていたのだと思います。

異動した手前、1年通して業務を経験してから再考することにしましたが、1年経っても気持ちは変わらず、品質管理部門を出ることを決めました。

戻るか、辞めるか

選択肢は、監査部門に戻してもらうか退職するかのどちらかでした。

監査部門に戻してもらったとしても、昇格していくためには、自分のレベルでは死にもの狂いで努力しても足りるかどうかわかりませんでしたし、一方で、昇格するに従い、管理業務や営業といった監査業務以外の「内向き」の業務が増えることはわかっていて、昇格した先の仕事を楽しんでいる自分の姿が想像できませんでした。

マネジャー昇格後すぐに品質管理部門に異動したため、マネジャーとして監査業務を経験した方がいいのではという迷いもありましたが、あと1、2年在籍している間に、自分の環境(家族の健康など)が変わり、身動きが取れなくなるのは嫌でした。

こうして、監査法人を退職しました。

つづく。

今日の花

スプレーバラ エクレール(バラ科、原産地:ヨーロッパ・アジアの温帯)
グリーンの花がめずらしいです。茎が細くカーブし花もたくさんついていて、1本でもサマになります。