株式会社の機関設計は、権限の一極集中と関わりがあるのでしょうか。

所有と経営の分離

株式会社の特徴の一つに「所有と経営の分離」があります。

「所有」とは、株式会社の運転資金等として一定の金額を支払い(出資し)、株式という持分を所有することです。株式会社の所有者は「株主」です。

株式会社は、広く資金を集めて規模を大きくし、事業を行うことを目的としています。このため株主は必ずしも事業運営、すなわち経営に、精通している人たちばかりではありません。

このため、経営に精通している人に事業運営を委任します。ここで、「所有と経営の分離」が発生します。

経営に精通している人として事業運営を委任される人のことを「取締役」といいます。

株式会社に必須の機関

機関とは、会社としての意思決定をしたり、業務執行の責任を担う組織または人のことです。

それぞれの機関が決定すべきことやできることは、会社法で定められています。

株式会社には上記の「所有と経営の分離」という特徴があるため、すべての株式会社に設置することが義務付けられている機関が2つあります。

一つは、所有者である株主から構成される「株主総会」、もう一つは、経営を委任される者である「取締役」です。

株主総会

株主総会の主な決定権限は次のとおりです。

  • 会社の基本的な重要事項 …例:定款の変更、資本金額の減少、合併、解散など
  • 取締役が決定することがふさわしくない事項 …例:取締役の選任・解任など
  • 株主自身の利益に関わる事項 …例:利益配当など
  • その他 …例:決算の承認など

取締役

取締役は、株主総会により選任されます。取締役には2つの権限があります。

  • 業務執行権…会社の経営を行う権限
  • 代表権…会社を代表する権限

取締役を複数置く場合は、そのうちの1名以上を代表取締役として、会社を代表させます。

その他の機関

取締役会

取締役会は、すべての取締役から構成される会社の機関です。

取締役会には、2つの権限があります。

  • 決定権限…重要な業務執行の決定権限
  • 監督権限…取締役(相互)の職務の執行の監督、代表取締役の選定および解職

監査役・監査役会

監査役は、取締役の職務の執行を監査する会社の機関です。株主総会により選任されます。

業務監査権限と会計監査権限の両方を持っています。

監査役会は、すべての監査役で組織する合議体であり、3名以上の監査役が必要です。会社法で監査役会を設置することが義務付けられている場合には、監査役3名の半数以上が社外監査役である必要があります。

会計監査人

会計監査人は、大会社(後述)に設置することが義務付けられています。公認会計士または監査法人しかなることができません。

株主総会により選任されますが、監査役または監査役会の同意が必要です。

委員会設置会社

委員会設置会社とは、取締役会において選任された取締役から構成される指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会を置く株式会社です。

各委員会とも、3人以上の委員(=取締役)が必要で、各々の過半数が社外取締役である必要があります。

委員会設置会社においては、代表取締役を置くことはできません。執行役(取締役と兼任可)という役職の者が業務を執行し、代表執行役が会社を代表します。

  • 指名委員会…取締役の選任および解任に関する議案の内容を決定
  • 監査委員会…取締役および執行役の職務執行の監査、会計監査人の選任・解任および不再任の内容決定等
  • 報酬委員会…取締役および執行役の報酬を決定

各委員会の決定には法的拘束力があります。

委員会設置会社では、各委員会の委員の過半数は社外取締役である必要があり、かつ、決定に法的拘束力があることから、独立性が高く、業務執行に対する監督機能が強いと言われています。

しかし、社外取締役を集めることが困難である等の理由からあまり普及しておらず、制度を導入しているのは2018年8月1日現在で72社のみです。

委員会設置会社にしても、各委員を選任するのは取締役会です。

監督機能を強化できるか否かは、機関設計にかかわらず、結局は各取締役の意思の持ちよう次第なのではないかと思います。

おわり。

今日の花

ダリア(キク科、原産地:メキシコ)

ポンポンダリアと呼ばれるタイプのものです。ダリアは茎が太く、茎に対して花が正面を向いているものが多いので、アレンジメントで使うのは苦手です・・・。