株式会社タニタ(以下、「タニタ」という。)の谷田千里社長の著者『タニタの働き方革命』(日本経済新聞出版社)を読みました。

タニタでは、

希望する社員は会社を退職し、個人事業主として会社と業務請負契約を結ぶ

「日本活性化プロジェクト」という試みを行っています。

そしてその結果、

個人事業主となった元社員の手取りはアップした

というのです。

  • 税務的に問題はないのか?
  • 単に労働時間の制限をなくして働かせる仕組みなのでは?
  • 手取りが増える理由は?

といった疑問から読み始めました。

しかし、読み進めて最も印象に残ったのは、仕組みの問題ではありませんでした。

疑問への答え

まずは最初の疑問の答えをまとめておきます。

今回の投稿の本題ではないので、本当に簡単にまとめており、言葉足らずのところもあると思います。ご興味を持たれた方は、ぜひ、著書を手に取ってみてください。

税務的に問題はないのか?

制度の構築・運用に当たっては税理士事務所のバックアップを得ているため、私見は述べませんが、指揮監督の有無等、いわゆる外注か給与かという基準(通達)をクリアできるような仕組みとしています。

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単に労働時間の制限をなくして働かせる仕組みなのでは?

業務委託契約において基本業務を明確化し、その範囲を超える業務は追加業務として発注、受ける受けないは事業主次第、という形を取っています。

会社員なら、どこまでが自分がやるべき業務なのかという線引きは“なあなあ”になりがちなところであるうえ、拒否はまずできませんから、著書を読む限り、「単に労働時間の制限をなくして働かせる仕組み」というわけではないと感じました。

ただ、事業主が、意識せずに無理しすぎてしまう危険性はあるでしょう。いくら自分がやりたくてやる仕事であろうと、体力や心のキャパシティとは別問題だと思いますので。

手取りが増える理由は?

個人事業主になることで、会社以外の仕事ができるようになります。この部分は、手取りが増える理由の一つとなっています。

言われてみれば、それはそうだ、というところでした。

楽しそうなのはなぜ?

さて、本題。

著書には、個人事業主になることを選んだ元社員たちへのインタビューをまとめた章があります。

最も印象に残ったのはこの章で、それは、個人事業主になることを選んだ元社員たちが、みんな楽しそうだったからです。全員が全員、そうではないのかもしれませんが、少なくとも、ここに登場する方たちはとても楽しそうでした。

個人事業主になることを選んだ元社員たちのキャリアはさまざまです。

  • 公式ツイッターの「中の人」
  • 技術職
  • 営業職(個人事業主となったのち企画職へ転向)
  • デザイナー
  • 総務部長

など。第一期は8名だったそうです。

個人事業主になることを選んだ理由は人それぞれですが、著書に取り上げられていた方の中には個人事業主になって後悔しているという方はおらず、自分のやりたいことができる、キャリアアップにつながると非常に前向きで、この制度を存分に活用し、フリーランス、という地位を楽しんでいる、享受しているように見受けられました。

この制度では、最初の3年間は社員時代の仕事を受託する(1年ごと契約更新)ため、この間は、会社という足場を持ちながら、個人事業主として会社の外でも仕事をすることができます。

社員に戻ることはできないルールだそうですが、それでも、しばらくの間は会社という足場があることで、(フリーランスの一員である)私が常に感じている生活への不安だとか、いつも何かに追い立てられているような感覚、これに失敗したら終わりという切羽詰まった感覚は、もしかしたら、私よりは少ないのかもしれません。

一方で、会社という多くの人間が集まる場所では、このようなキャリアを選ぶことを良く思わない人もいるでしょう。その中で、会社員時代と同等(以上)の成果を出しつつ、自分がやりたい他のことにチャレンジするのは、逆に私が感じることはない、難しさもあるだろうと思います。

その難しさを超えてもなお、楽しそう、な姿を文章から読み取り、私には何が足りないのかなあ、と考えてしまいました。

フリーランスは、仕事がなければ生活できないという大きなリスクがありますが、最終的な決断を下すのはいつも自分であって、誰かの命令(例えば、会社の命令)に従わなければならないということがなく、自分で自分の人生をコントロールできることが最大の魅力であると、私は思っています。もちろん、自分一人の力では変えられない環境があったり、家族を優先させなければならないこともあるでしょう。それでもその中で、最大限、自分がやりたいことを選択できるはずですし、できるようにならなければ、私がフリーランスでいる意味はない、と考えています(あくまでも、私が、であり、他のフリーランスに当てはめるつもりはありません)。

結局、今の私には、自分が本当にやりたいことが見えていないのかもしれません。

前向きで軽やかな元社員たちに対して、自分で自分の手足を縛っているような私。

フリーランスでいる意味を改めて考えさせられました。

※しばらくの間、週3回(月・水・金)更新とします。

今日の花

トルコキキョウ(リンドウ科、原産地:北アメリカ)

フリル全盛(私見)のトルコキキョウの中ではめずらしい一重で小ぶりなタイプです。このトルコキキョウは福島県相馬市産です。相馬市は福島県内で有数のトルコキキョウの産地でしたが、東日本大震災により多くの産地で栽培休止を余儀なくされました。その後、花は風評被害が少ないことから、生産者が少しずつ増えてきたため、JAによる技術承継や民間支援(キリン株式会社による「キリン絆プロジェクト」)などを活用し、現在に至るまで、産地復興・ブランド構築に取り組んでいます。という、この花にまつわる話を、一緒にもらったパンフレットで読んだらじーんとしてしまいましたので、長くなりましたがご紹介しました。トルコキキョウの花言葉は「希望」。復興への取り組みによく似合っていますね。

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