引き続き、個人事業を法人化すると何が変わるかをご紹介していきます。
所得税法vs法人税法
個人事業主に適用されるのは所得税法、会社に適用されるのは法人税法です。
このため違いが生じるものがあります。
事業年度と申告期限
個人事業主の場合、事業年度は全員1月1日〜12月31日、確定申告書の提出と納税の期限は翌年の3月15日と定められています。
会社の場合、事業年度を「定款」で定めます。会社法において、1事業年度は1年以内と定められていますが、いつからいつまでにしなければいけないとか、始まりが月の初日・終わりが月の末日でなければならないといった決まりはありませんので、自由に決めることができます。2月16日〜2月15日、という事業年度にすることも可能です。
確定申告期限は事業年度末日の翌日から2ヵ月以内と定められています。
12月決算であれば2月末日、上の2月16日〜2月15日の会社であれば4月15日が期限となります。
申告期限の延長
法人の場合、次のような理由がある場合、申告期限の延長を申請することが可能です。
定款で、事業年度終了後(2ヵ月以内でなく)3ヵ月以内に定時株主総会を開催することとなっている
会計監査人を置き、会計監査を受けており、かつ、定款に事業年度終了後3ヵ月以内に定時株主総会を開催することとなっている
個人にはこのような制度はありません。
なお、2ヵ月以内に申告と法人税の納付をすることが原則ですので、延長した場合にはその分の延滞税(延滞利息のようなもの)はかかります。このため、「予納」といって、事業年度終了後2ヵ月以内に概算額をいったん納付しておき、承認を受けた延長後の申告期限にはその差額を納める、ということをします(こうすると、延滞税がかかるのは差額の分だけになるため)。
確定申告書の様式と提出書類
個人の確定申告書として提出が必要な書類は、青色申告の方の事業所得の場合、次の通りです。
- 確定申告書第一表、第二表、第四表(赤字の時のみ)
- 青色申告決算書(全4ページ)
- 所得控除の証明書原本(電子申告の場合は記載事項のみ)
- 明細書、付表(必要なもの)
個人は控除証明書などの原本の提出が必要ですが、法人は、通常、原本の提出は求められません。
法人の確定申告書として提出が必要な書類は、次の通りです。
- 確定申告書(別表一〜十九までのうち必要なもの)
- 明細書、付表(必要なもの)
- 決算報告書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)
- 勘定科目内訳書
- 事業概況書
別表一〜十九といっても19種類しかないわけではなく、一、一の二とか、一の中でも一(一)、一(二)などと、法人の種類や申告内容によって使うべき表が細分化されています。
中小企業であれば、使わない別表の方が多いのですが、それでも、何かしらの固定資産があり、売掛金、交際費、預金利息がある会社であれば、
一(一)、一(一)次葉、二、四、五(一)、五(二)、六(一)、十一(一の二)、十五、十六((一)、(二)、(六)、(七)、(八)のすべてまたはいずれか)
くらいは作成が必要になります。
欠損金の繰り越し
青色申告を行っていると、今期の赤字を翌期以降の黒字と相殺できる制度を利用することができますが、個人と法人では、相殺できる期間が異なります。
- 個人…3年間
- 法人…10年間
次回は、法人税法以外の税法についての異同をご紹介します。
今日の花
スイートピー(マメ科、原産地:イタリア)
オレンジとピンクが混じり合った色のスイートピーです。いろいろな色があって飽きませんね。そばを通るとふわりと甘い香りがして、この数日、楽しめました。