以前、輸出と輸入の消費税について取り上げたことがありますが、今回は、外貨建の取引を日本円に換算するそもそものルールを取り上げます。

外貨建取引とは

外貨建取引とは、その取引についての支払が外貨で行われるものをいいます。

当方から支払う場合、先方が支払う場合(当方の収入となるもの)の両方を指します。

外貨建で表示されていても、実際の支払が円で行われるものについては、外貨建取引には含まれません。

例えば、海外でクレジットカードで買い物をすると、海外で買ったものには外貨で値段がついてますが、カード会社からの請求は、カード会社の為替レートで換算された円貨額となります。このような取引は、外貨建取引には含まれません。

外貨建取引の換算方法(原則)

多くの会社では、帳簿は円貨額のみでつけていると思います。外貨で支払・収入があった場合には、日本円に換算する必要があります。

外貨の円貨への換算は、原則として、取引日(①)の電信売買相場(②)の仲値(TTM)(③)により換算します。

外貨建取引の換算方法(容認)

上の①取引日、②電信売買相場、③仲値(TTM)のそれぞれについて容認規定が設けられています。容認規定は、いずれも継続して適用することが必要です。

①取引日についての容認規定

原則として取引が発生したその日のレートを使うこととされていますが、次の日のレートや期間の平均レートも容認されています。

  • 取引日の属する月の前月の末日、取引日の属する週の前週の末日、当月若しくは当週の初日
  • 取引日の属する月の前月または前週の平均相場のように、取引日から1ヶ月以内の一定期間における平均値

②電信売買相場についての容認規定

電信売買相場は、金融機関により異なる場合があります。このため、どの相場を用いるかについてルールが決められています。

  • 原則…会社のメインバンクのもの
  • 容認…会社が同一の方法により入手した合理的なもの

③仲値(TTM)についての容認規定

為替レートには、電信売相場(TTS:Telegraphic Transfer Selling)、電信買相場(TTB:Telegraphic Transfer Buying)、電信売買相場の仲値(TTM:Telegraphic Transfer Middle Rate)の3つがあります。

銀行は、市場レートを参考にしてTTMを決定します。

TTSは「円」を「外貨」に交換する(円を売って外貨を買う)時のレート、TTBは「外貨」を「円」に交換する(外貨を売って円を買う)時のレートで、TTMに為替手数料を含めて設定されるレートです。

原則としてTTMを適用しますが、次の容認規定があります。

  • 売上その他の収益または資産…TTB
  • 仕入その他の費用(原価および損失を含む)または負債…TTS

外貨建金銭債権債務の換算方法(決算時)

金銭債権債務とは、金銭を受け取るもしくは支払うことを目的とする債権債務です。

資産=金銭債権、負債=金銭債務、とは限りません。

例えば、商品の仕入れに際し代金を前払いした場合の「前渡金」は資産ですが、これと引き換えに受け取るのは商品ですので、金銭債権ではありません。

外貨建金銭債権債務を決算時に保有している場合、次のいずれかの方法で換算します。

  • 発生時換算法…取引日に換算した金額を付す方法
  • 期末時換算法…期末日の為替レートで換算した金額を付す方法

決算時の換算方法は、届出により、資産・負債の種類によって選択することができます。届出をしない場合は、次の法定の方法となります。

  • 短期金銭債権債務(決算日から1年以内に決済するもの)…期末時換算法
  • 長期金銭債権債務(決済日が決算日から1年超に到来するもの)…発生時換算法

会計上は、短期・長期ともに期末日の為替レートで換算しますので、長期長期金銭債権債務がある場合は、届出を行わないと、会計と税務で差異が生じ、税務調整が必要となります。

容認規定をうまく使う

決算時の外貨建金銭債権債務の換算方法の選択については届出が必要ですが、期中の外貨建取引の換算方法の選択については、特に届出は必要とされていません。

もちろん、継続適用が要件とされていますので、期ごとに変更するようなことは許されませんが、「外貨建取引が少ないため、簡便な方法をとっても影響が小さい」などといった合理的な理由があれば、変更は可能でしょう。

メリットとしては、会計処理がシンプルになること。事務的に煩雑なことはミスの原因にもなりますので、ミスを減らすことにもつながります。

デメリットとしては、取引日のレートで換算しないため、為替換算差額の中に本業の損益が混在する可能性があること。ただ、為替相場の影響を把握して対処したい、といった要請がなければ、大きなデメリットではないと考えられます。

経理の手間を省くためには、届出のいらない容認規定をうまく使うことも検討してみましょう。

今日の花

コチア(アカザ科、原産地:地中海沿岸)

雪をかぶった針葉樹のようで、クリスマスのアレンジやいけばなに活躍します。しかし、葉は多肉植物のようで、原産地も暖かな地方です。見た目とのギャップがおもしろいです。