「500ポイント以上使ってお支払いの場合、ポイントを5倍付けます」と言われ、まんまと500ポイント使った私は、誰にどういうメリットがあるのかを考えています。

前回(「ポイント使うとポイント5倍」で誰が得する?(前編))の続きです。

前回、提携ポイントの会計処理を見ましたが、ポイント会社の仕訳には

  1. 引当金を計上する方法(パターン1)
  2. 預り金を計上する方法(パターン2)

の2つがあると推測できました。この2つの違いについて考えてみたいと思います。

パターン1とパターン2の違い

何がサービスか?

パターン1とパターン2の違いは、何をもってポイント会社がお店に対してサービスを提供したと考えるか、にあると思います。

パターン1では、お店に販売促進のためのポイントを付けさせてあげたことをもって、ポイント会社はお店にサービスを提供した、と考えているのだと思います。

この考えによると、お店から受け取るポイント見合いのお金がサービスの対価ととらえられ、このタイミングで収益計上することと整合します。

パターン2では、お客さんが実際にポイントを使い、お店の代わりに値引きしてあげたことをもって、ポイント会社はお店にサービスを提供した、と考えているのだと思います。

このため、お店がポイントで支払いを受け取り、その分のポイントに見合う金額を請求されるタイミングで収益計上します。

ただし、お客さんが使ったポイントは、ポイント会社にとって値引きまたは販売促進のためのコストでもあるため、収益と費用が同額計上され、プラマイゼロになります。

税務上の損金の計上額の違い

パターン1では、お店とポイント会社を合わせて見ると、税務上損金になる経費は、

お客さんが支払いに使ったポイント

であり、結果として、独自ポイントと同じになります。

パターン2では、お店とポイント会社を合わせて見ても、

お店がつけたポイントの金額全額

が損金になると考えられます。

この中には、年度末時点で使われないポイントに見合う部分も含まれていますが、お店から見れば、付けたポイントが有効期限内に使われようと使われまいと、ポイント会社に対してポイント見合いの金額を支払わなければなりませんので、これが損金でないとはいえません。

ポイント会社の収益計上のタイミングについても考え方次第ですので、間違いとはいえないでしょう。

結局、誰が得する?

私が買ったものは6,500円のもの。このうち、500円分を500ポイントで支払い、残りの6,500円-500円=6,000円分に対してポイントが5倍つきました。このお店では、通常、100円につき0.5ポイント付きます。

実際にポイントで見てみましょう。

お店

通常ポイント:30ポイント(6,000円×0.5ポイント/100円)+キャンペーンポイント:120ポイント(6,000円×(0.5ポイント/100円×4倍))=150ポイント(150円)負担

ポイント会社(と私)

-500ポイント+150ポイント=350ポイント減少

うーむ。なんとなく損した気がしてきた・・・。使ったら減るのは当たり前なんですけどね・・・。

ポイント会社の損得

パターン1の場合、ポイント残高が減り、前年度末のポイント残高>当年度末のポイント残高、となれば、利用実績割合が同じとすると、ポイント引当金の残高は減少します。減少した金額は利益となります。

ポイントの利用が増えると、ポイント残高に掛ける将来利用が見込まれる割合は上がります。

しかし、ポイント残高が年度末の1時点のものであるのに対し、利用実績割合は過去何年分かを平均しますので、単年の利用が増えても大きく変動しないことも考えられ、ポイント残高が減れば、利益を生み出す可能性は高いと思います。

パターン2の場合は、収益費用が同額計上されるため、利益を生む効果はありませんが、ポイント債務と現金が両方減り、総資産を圧縮します。

そうすると、例えば、ROA(総資本経常利益率=経常利益/総資産)という、手持ちの資産で利益を効率的に生み出せているかどうかを示す経営指標が改善する効果があります。

いずれにしても、ポイント会社はポイントを使ってもらうと得する、と言えます。

ポイントため込みの解消にも?

有効期限の始まる日が「ポイントを付けた日」であれば、使われなかったポイントは、有効期限の到来とともに失効し、会計上からもその姿は消えます。

しかし、有効期限の始まる日が「最後にポイントカードを使った日」であれば、継続的にポイントカードを使うと、実質的に無期限のポイントのようになり、ポイント会社が抱える負債はどんどん増えていきます。

今回私が使ったポイントは後者のもので、私は、その手のポイントは、特に目的があるわけでもないのですが、「いつか大きく使おう」とため込んでいます。

こまめに使う人と、ため込む人は、顕著に分かれるのかもしれません。

「いつか使おう」の「いつか」が来なくて、漫然とポイントを貯めていた私は、もしこれがポイントを使わせ(て負債を減らし)たい戦略だったのであれば、ぽん、と背中を押されて、まんまとはまったというわけです。

お店の損得

私がポイントを使った部分は、ポイント会社から補填されるので、お店に負担はなし。

ポイントを5倍つける部分はお店の経費になりますが、ポイントの対象となるのはポイント利用分を差し引いた金額ですので、5倍つけても、単純に負担が5倍になるわけではありません。

少しの負担増で、「5倍もポイントつけてもらって得した」という良い印象をお客さんに持ってもらえれば、リピートを促す効果が期待でき、お店にとっても得、と言えそうです。

お会計という、お店とお客さんとの最後の接点で良い印象を持ってもらえるのは、終わり良ければすべて良し、とも言うように、大きな効果がありますよね。

また、ここからは完全な想像ですが。

ポイント会社からは、カード所有者が許可する範囲で、カード所有者に関する様々な情報がお店に提供されます。

もし、ポイントをつけるだけのお客さんと、ポイントを使ったお客さんとでは、お店がポイント会社から提供してもらえる個人情報の範囲が異なり、ポイントを使ったお客さんについては、より多くの情報を提供してもらえて販売促進に使えるとしたら。

ポイントをつけるための負担が多少増えても、ポイントを使ってもらった方が得する、のかもしれません。

おわりに

今回、この疑問を持って、初めてカード会員規約を熟読したのですが、使う先々のお店に、カード所有者が許可する範囲で、様々な個人情報が提供されちゃうんですね(利用目的に必要な範囲内、と書いてあるだけなので、何を提供されても文句いえない、という感じなのかなと)。

「カード所有者が許可する範囲で」と書きましたが、カードを利用している時点でカード会員規約に記載されている個人情報の提供に関して、許可していることになります。情報提供の停止を申請する手続を用意しているポイント会社もあるのですが、それも今回初めて知りました。

便利さやお得の裏側にあるものを、もう少し意識しようと思いました。

おわり。

今日の花

カーネーション(ナデシコ科、原産地:南ヨーロッパ)

お花に興味のない方でもご存じの方が多いと思います。母の日の時期だけでなく、ほぼ1年中見かけます。深いワインレッドと大ぶりの姿がきれいで衝動買い。