先日行ったお店で、「500ポイント(お店独自のポイントでなく提携ポイント)以上使ってお支払いの場合、ポイントを5倍付けます」と言われ、「(ん?どういうこと?ま、でも)お願いします」と500ポイント使ったのですが、誰にどういうメリットがあるのか疑問に思いました。

※提携ポイントとは、ポイントの発行会社の加盟店になると、お客さんにポイントを付けたり、支払いに使ってもらったりできるポイントです。共通ポイントともいいます。Tポイント、Pontaポイント、dポイントなどが代表的なものです。

ポイントに関する会計処理の基本の流れ(従来の会計基準)

2018年3月30日に「収益認識に関する会計基準」が公表されましたが、原則適用の時期は2021年4月1日以後開始する年度ですので、ここでは、まずは従来の会計基準に沿った会計処理のうち代表的なものを見ていきます。

お店がポイントをつけた時

ポイントをつけるだけでは、ポイントの効果は現れませんので、会計処理はしません。

お客さんが支払いにポイントを利用した時

代金をポイントで受け取った部分は、値引きまたは販売促進のためのコストとしての性質がありますので、「売上値引」または「販売促進費」等として計上します。

年度末

ポイントが年度末まで利用されずに残っていても、有効期限内の将来にお客さんが使う可能性があります。しかし、使われないまま有効期限を迎えて失効するものもあります。

そこで、利用されずに残っているポイントのうち、将来お客さんが使うだろうと見込まれる割合(過去の実績などから算出)の金額を引当金として計上します。

独自ポイントの会計・税務処理

では、具体的に、金額と仕訳を使って見ていきます。

まずは、自分のお店で独自に発行しているポイントの場合です。自分のお店でお客さんにポイントを付け、それを自分のお店でお客さんが使った、という流れです。

会計処理

ポイント付与

お客さんが50,000円の商品を買った。ポイントは100円につき1ポイント付く。1ポイントは1円として利用できる。ポイントの有効期間は1年。消費税は考慮しない(以下同じ)。

借方 貸方
現金 50,000 売上高 50,000

ポイントは、50,000円×1ポイント/100円=500ポイント付きますが、ポイントを付けただけでは会計処理は行いません。

ポイント利用

お客さんが10,000円の商品を買い、うち100円分をポイントで支払った。

借方 貸方
現金 9,900 売上高 10,000
販売促進費 100

ポイントで支払いを受けた分は、販売促進費として計上します。

年度末

3ヶ月後、お客さんがポイントを使いきらないまま決算を迎えた。将来お客さんがポイントを使うだろうと見込まれる割合は80%(20%は使われずに失効する)である。

借方 貸方
ポイント引当金繰入額 320 ポイント引当金 320

単純化するために、ポイント残高はこのお客さんのものだけとしています。

ポイントの残高は、500ポイント-100ポイント=400ポイントです。これに将来お客さんがポイントを使うだろうと見込まれる割合80%(または1-失効率20%)を掛けます。

400ポイント×80%=320ポイント

1ポイント=1円として利用できるので、計上額は320円となります。

税務処理

今回は、消費税は考慮外としますので、法人税のみ考えます。

法人税上の問題は、計上した費用が損金になるか(税金計算をするうえでも経費として認められるか)どうかにあります。

損金になるのは、確定した債務(経費)に限られるためです。

お客さんがポイントを使ったときに計上した販売促進費

現実にコストとして負担しているので、損金となります。

引当金繰入額

将来お客さんがポイントを使うだろうと見込まれる金額を見積り計上しただけものですので、確定した債務(経費)とはいえず、損金になりません。

提携ポイントの会計・税務処理

加盟店とポイント発行会社との取引の概要

お客さんにポイントをつけると、加盟店(以下、お店、といいます。)は、ポイントの発行会社(以下、ポイント会社、といいます。)に、つけたポイントに見合うお金を支払います。

お客さんがポイントを支払いに使うと、お店はいったんポイント分を立て替えることになりますが、後日、ポイント会社から、ポイント分のお金を受け取ることができます。

会計処理

それでは具体例を見ていきます。

なお、以下に記載する会計処理は、正式に公表されているものではなく、公開されている決算書などに基づき推測したものです。

ポイント付与

お客さんが50,000円の商品を買った。ポイントは100円につき1ポイント付く。1ポイントは1円として利用できる。ポイントの有効期間は1年。消費税は考慮しない(以下同じ)。

お店
借方 貸方
現金 50,000 売上高 50,000
販売促進費 500 現金 500

ポイントは、50,000円×1ポイント/100円=500ポイント付きます。

お店は、この分の経費をポイント会社に支払う必要がありますので、販売促進費等の経費として計上します。

ポイント会社
借方 貸方
現金 500 売上高 500

ポイント会社では、ポイント見合いとして受け取った現金を収益として計上します。

ポイントを付けたことについては、独自ポイントの場合と同じく、会計処理はしません。

ポイント利用

お客さんが10,000円の商品を買い、うち100円分をポイントで支払った。

お店
借方 貸方
現金 9,900 売上高 10,000
未収金 100

未収金はポイント会社に対するものです。お店は、後日、お客さんがポイントを利用して支払った金額をポイント会社から受け取ります。

ポイント会社
借方 貸方
販売促進費 100 現金 100

ポイント会社は、お客さんが使ったポイント分の金額をお店に支払います。このとき、実際に値引きまたは販売促進の効果が現れるため、経費として計上します。

年度末

3ヶ月後、お客さんがポイントを使いきらないまま決算を迎えた。将来お客さんがポイントを使うだろうと見込まれる割合は80%(20%は使われずに失効する)である。

お店

会計処理は必要ありません。

ポイント会社
借方 貸方
ポイント引当金繰入額 320 ポイント引当金 320

320円の算出根拠は、独自ポイントの場合の算出根拠と同じです。

ポイント会社の会計処理全体を通して見ても、お店からポイント見合いの金銭を受け取るところ以外は、独自ポイントと同じです。

ポイント会社のもう1つの会計処理

公開されている決算書を見ると、ポイント会社の会計処理には、別のパターンがあるようです。

上で説明した引当金を計上する会計処理を「パターン1」、これから説明する会計処理を「パターン2」と呼びます。ポイント会社の仕訳のみ示します。

ポイント付与

借方 貸方
預金 500 預り金 500

パターン1では、ポイント見合いとして受け取った現金を収益として計上したのに対し、預り金として負債に計上します。

ポイントを付けたことについては、独自ポイント、パターン1の場合と同じく、会計処理はしません。

ポイント利用

借方 貸方
販売促進費 100 預金 100
預り金 100 売上高 100

パターン1と同じく、お客さんが使ったポイント分としてお店に支払った金額を経費として計上します。

同時に、預り金を収益に振り替えます。

年度末

仕訳なし。

預り金の残高は、お店が付けた500ポイント-お客さんが使った100ポイント=400ポイント(ポイント残高)と一致します。

税務処理

お店で計上した費用

ポイントをつけたお店で計上した販売促進費は、ポイント会社に対して現実に発生し支払った経費ですので、損金になります。

ポイント会社

お店に支払ったポイント見合いの販売促進費は、お店に代わってポイント会社が値引きまたは販売促進を行ったコストであり、現実に発生した経費ですので、パターン1でもパターン2でも、損金になります。

他方、パターン1の場合に年度末に計上した引当金は、独自ポイントの場合と同様、見積り計上した金額ですので、損金になりません。

長くなってきましたので、次回に続きます。

続く。

今日の花

トルコキキョウ(リンドウ科、原産地:北アメリカ)

トルコキキョウは種類が多く、フリルのような花びらのものもありますが、これは比較的シンプルな形です。色もさまざまですが、まさに「上品」という言葉がぴったりな淡い紫色でした。