昨年に引き続き、今年の確定申告の時期にも、税務署、青色申告会等で、主に個人事業主の方を対象とした申告書の作成相談・指導に従事しました。「相談・指導」といっても、納税者の方が持参する決算書の下書きや会計データをもとに、申告用の決算書と申告書を実際に作成する業務です。

税務署主催のものについては義務ということになっていますが、そのほかの団体が主催するものは任意であり、希望者が従事します。

朝9時から夕方4時または5時まで、次から次へと初見で申告書を作り続けるのはそれほど楽なことではありませんが、年に1回、こういう、集中して頭をフル回転させるような場に身を置かないと、自分が本当に何もできない人間になってしまいそうで、それで、何日間か従事させていただいています。自分のお客様だけで十分、となればいいのでしょうけど。

こんな不純な動機の自分でも、納税者の方のほっとする表情を見られたり、お礼を言っていただけたりすることもあり、それは自分にとっては思いがけないおまけというかごほうびのようなもので、「こんな自分でも少しは役に立ててるのかも」と思わせてもらえる、ありがたい機会でもあります。

納税者の方は、年齢層は比較的高めながらもばらばら、事業の規模もばらばら(税務署主催の会は所得金額に目安が設けられています)、業種もばらばら、そして、記帳や決算書の完成度もばらばらです。

  • 「これ、こっちのソフトに打ち直さないで、そのまま税務署に提出できるよ」と思うほど完璧な決算書と申告書を作ってお持ちになる
  • 決算書はばっちり、申告書も税額計算や所得控除の一部を除きほぼ完成している
  • 会計ソフトを使っているが、減価償却や棚卸などの決算整理仕訳を自力で入れられず、決算書が未完成
  • 手書きやエクセルで作った帳簿・出納帳を持参(こちらで年間合計を拾って決算書を作る)
  • 帳簿でなく集計メモ的なものを持参(同上、これが帳簿かどうかは・・・)
  • レシートだけ持参(白色申告でもこれはダメなのではと思いますが、事実、いらっしゃる)

ざっくりこれくらいの段階に分かれるのではないかと思います。

  • 完璧でもご自分で申告書を提出しない。
  • そもそも記帳していない

出来上がっているのであれば、お金はともかく、会場へ出向く手間や待ち時間がもったいないのでは?と思いますし、どういう壁を乗り越えると、自分で申告まで、となるのかなと考えます。

①帳簿をつける

そもそも、という話ですが、まずはこれかなと(年の途中から自分の会計を放置していた私が言える義理ではありませんが、自戒を込めて・・・)。

複式簿記でなくとも、まずは現金出納帳や費目別の帳簿でいいと思います。

長年、申告時期にレシートを集計して済んでしまっていると、そこから帳簿をつけようとはなかなか思えないでしょうし、メリットもあまり感じられないかもしれません。

ただ言えるのは、帳簿をつけることで見えてくることがある、ということです。

  • 今、どれくらい黒字または赤字になっているのか?
  • 売上は増えているのか、減っているのか?
  • 何に自分はお金を使っているのか?無駄遣いはないか?節約できるところはないか?

日々でなくとも月々でもやっていくと、お金の使い方や事業との向き合い方が変わると思います。

②貸借対照表を理解する

貸借対照表の作成は、65万円の 青色申告特別控除の適用を受けるための要件です。

損益計算書は、売上と経費の集計ということで、「この経費をどこ(の勘定科目)に入れたらよいか?」という迷いはあっても、表の仕組み自体は理解しやすいように見受けられます。

減価償却も、「10万円以上のものを買うと、3年とか6年とかで分割して経費にする」という感覚でとらえられています。

しかし、「貸借対照表」となると、「わからない」「見よう見まねで」となってきます。

表の中身は、今(12月31日)現在存在している資産と負債の金額の一覧なのですが、「貸借とは?」「右と左の違いは?」という疑問がわくのではないかと思います。

複式簿記や発生主義とからむところなので、理解できるか本当に理解しているかと言うことなのかなと思います。

③税金を計算する

手引きには所得控除や税額の計算方法が記載されていますので、これを見ながら計算できるかどうかということです。あるいは、国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーを使えば自動で計算してくれます。

年に1回のことで忘れてしまって、毎年一から手引きを読み直すのは大変

とか、

インターネットは難しそう

といったハードルを個人的には感じます。

国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーは、業務に利用するソフトとしてはさておき(保存を忘れると一からやり直しになるのがイヤ)、個人で申告書を作成するには良いと思います。

試してみることのできる時間的余裕とか、「試してみよう」という好奇心とか、そういうものもからむのかもしれません。

ちなみに、あの、ごつごつしたマス目が並んだ申告書第一表の見た目も、「難しそう」という印象を抱かせる気がするのは私だけでしょうか・・・。

④システムの問題

チャレンジして「確定申告書作成コーナーででき上がった!」となっても、

  • e-Taxには、マイナンバーカード+ICカードリーダーまたはID+パスワード(税務署に出向いて取得)
  • 郵送には、プリンター(そしてポストに出しに行く手間)

という関門があります。

ここは一朝一夕にはどうにもならないとはいえ、e-Taxを推進するならもう少しなんとか、という思いはあります。

⑤人のこころ

完成した決算書と申告書を持って相談にいらっしゃる方は、「チェックしてもらって安心したい」とか、「いつも相談に乗ってもらっている青色申告会の方に最後見てもらいたい」とか、そういうお気持ちもあるのかもしれません。

だとしたら、⑤は解決(排除)しなければならない壁ではなく、がんばって、そのお気持ちに応えれば、それで良いのかもしれません。

今日の花

バラ(バラ科、原産地:ヨーロッパ・アジアの温帯)

花の緑色と縮れたような花びらに一目ぼれして買ってきてしまいました(ちょっとお高かったです・・・)。茎もすっと伸びていて、とても美しいです。こういう花を素敵にいけられたらなあ、とつくづく思います。