前回、役員報酬(以下、「役員給与」といいます)について、

  • 役員給与は原則として損金(税金を計算するときにもうけから引くことができる経費)として認められないこと
  • 損金として認められる主なものには、①定期同額給与、②事前確定届出給与があること
  • ①定期同額給与は、1事業年度を通じて、定時株主総会決議による給与改定前後の給与がそれぞれ同じ金額であること
  • ②事前確定届出給与は、定時株主総会で支給対象者、支給日、支給金額を決議し、その内容を、定時株主総会決議後1ヶ月以内に税務署に届出、その条件どおりに支給すること

といった内容をご紹介しました。

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今回は、1年に1回、役員給与を決めるとき、考慮することをご紹介します。

利益がどのくらい出るか?

何より重要なのが、1年で利益がどのくらい出るかの見込みをできるだけ正確に立てることです。

利益計画の作り方には売上から作る場合と利益から作る場合とがありますが、継続している会社であれば、売上の方が見込みが立てやすいのではないかと思います。

物を作って売る、物を仕入れて売る、外注を雇って工事をする、といった業種であれば、次の図のように考えましょう。

変動費と固定費を区別していない場合は、決算書の「損益計算書」をもとに、次の図のように考えましょう。

図の「変動費」や「売上原価」は、売上に対する比率が毎年あまり変化せず、予測を立てる年も変化がないと予想される場合は、平均的な比率で金額を求めてもいいでしょう。

役員給与は「固定費」または「販売費及び一般管理費」に含まれますので、この段階では役員給与を除いておきます。また、役員給与にかかる社会保険料(法定福利費)も大きな金額になりますので、除いておく方がより正確です。

変動費や売上原価がない業種は、売上と、固定費または販売費及び一般管理費のみの予測を立てることになります。

これで残った利益を、会社に残す分と役員が給与として取る分をどう分けるか考える、というのが基本的なやり方です。

売上の見込みが読めないとき

売上の見込みが読めない、という業種もあるかと思います。

その場合は、業績が良かったら月額報酬と別途報酬を出すことを定時株主総会で決議し、事前確定届出給与を届け出ておくのがおすすめです。

ただし、100万円で届け出たが、見込みよりも業績が伸びなかったので50万円だけ支給、としてしまうと、この50万円は損金として認められません。支給対象者、支給日、支給金額は厳密に守る必要があります。100万円で届け出たら、100万円支給するか、0円にする(まったく支給しない)かどちらか、ということになります。

会社と個人の税金

会社に残す分と役員が給与として取る分をどう分けるか、というところで、まず考慮するのは、会社と役員の税金がいくらになるか、という点です。

会社と役員個人とではかかる税率が異なります。また、役員給与には社会保険料がかかりますので、会社の利益計算・個人の所得計算の両方で加味する必要があります。

例えば1,000万円利益が残る見込みの場合で、会社と役員とで半々に分けようとする場合を図にすると、1つの考え方としてこのような分け方があります。

給与はキリのいい金額にすることが多いと思いますので、この場合ですと、額面で月42万円、年504万円(少しはみ出ますが)、個人負担の社会保険料が年約74万円ということになります。これに役員本人の配偶者控除、扶養控除等を加味して計算すると、役員個人の所得税が概算できます。

会社の分は、役員給与が月42万円の場合、会社負担の社会保険料が年約75万円となりますので、

残った利益1,000万円ー役員給与年額504万円ー会社負担社会保険料75万円=425万円

425万円に対して税金がかかるという計算になります。

計算した会社と個人の税金のバランスを見たり、役員個人の生活設計(生活費として足りるのかどうか)、会社が行う投資の予定の有無(会社にどの程度お金を残しておく必要があるのか)等を考慮して取り分を変え、納得いくところまで計算し直します。

利益が出たか?

給与を上げたい、というとき、前の期の業績が下がったら上げてはいけない、ということもありませんが、利益が出た次の期に給与を上げる、というのは自然な流れです。

給与が上がると所得税や社会保険料も上がります。社会保険料については手立てがありませんが、所得税については、上がった分を、例えば、小規模企業共済や確定拠出年金の掛金に充てると、掛金として支払った金額には所得税がかかりませんので、所得税の増加を回避できます。

おわりに

年度の最初に役員給与を固定してしまうため、売上が読めるか読めないかで、最終の利益と税金が相当変わってきてしまいます。

売上が読めない→保守的に見込んで給与を抑える→売上上がる→利益出て税金たくさん納める、となると、「給与を上げておけばよかった」と後悔することになりがちです。

であれば、売上が読めない→強気に見込んで給与を上げる→売上上がる→予測に近い利益と税金になる、という方が、たとえ予測よりも税金を納めることになっても、後味もよく、会社にとってはプラスになるのではないでしょうか。

今日の花

アルストロメリア(ヒガンバナ科、原産地:アンデス地方南部)

さまざまな色のものが出回っています。こちらは夏らしいオレンジ色です(ややお高めでした…)。長持ちして、蕾もかなり小さいものまで咲いてくるので、家にあると楽しみな花です。

編集後記

最近、生協をやめました。平日の午前中に配達があるのがしんどくなってしまったからです。スーパー苦手(というか並ぶの苦手)の私でしたが、徐々に苦でなくなってきました。慣れもありますが、セミセルフレジ(店員さんがレジを通してくれて、会計だけ自分でする)のおかげかなと思います。定期的に通うようになり、列の進みを観察してみると、何となくですがセミセルフレジの方が早いと感じます。スーパーの完全なセルフレジも使ったことがありますが、バーコードを通すのに手間取ってしまい、自分には難しかったです。セミセルフ、というのが、程良くていいのかもしれません。

1日1新

ドライ型ミスト(丸の内仲通りを中心にドライ型ミストが設置されています。ミストの下を狙って通りましたがまったく濡れませんでした。猛暑を緩和する効果ありとのことですが、個人的には?。もっと気温が上がって蒸し暑くなった方が涼しさを体感できるのかも。)

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