会社を設立しようとするときも、したあとも、毎年必ずきめなければならないことの一つに役員報酬があります。

役員報酬は一度決めたら、基本的には1年間変更できません。

このため、いくらにしたらいいか?と悩むわけです。

役員報酬(役員給与)とは

役員報酬とは、役員に対する給与です。

会社と役員との関係は、会社と従業員との関係(雇用関係)とは異なり、委任関係(役員としての業務を遂行することを会社が委託し、役員が受諾する)にあります。

このため、役員が受け取るのは給与ではなく、委託業務に対する報酬、ということになっています。

民法上、委任契約においては、特約がなければ報酬を請求できないとされていますが、役員の仕事はタダでやるようなものではありません。そこで、委任者=会社の意思決定機関である株主総会決議をもって、役員報酬を決めなければならない、というルールがあります。

なお、法人税法では「役員給与」という用語を使っていますので、以降は「役員給与」といいます。

役員給与となるもの

役員給与となるのは金銭に限られません。

例えば、

  • 借金を免除してあげる
  • モノをタダであげる、安く売る
  • お金を無利息で貸す、安い金利で貸す
  • 家賃を負担してあげる
  • 保険料を負担してあげる

など、役員が本来負担するはずのものを会社が肩代わりするものも含まれます。

法人税法上の取り扱い

役員給与は、原則として損金とはならず、一定の要件を満たす場合のみ、損金とすることができます。

損金とは、法人税の計算をする際に経費としてもうけから引くことができるものです。

損金とすることができる主なものは次の2つです。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与

定期同額給与とは

定期同額給与とは、次の要件をいずれも満たす役員給与です。

  1. 1ヶ月以下の一定の期間ごとに支給される
  2. 1事業年度を通じて、給与の改定前後で毎回の支給額(または源泉税等控除後の手取額)が同額

①については、例えば、毎月25日を支給日と決めて、支払っているかどうかということです。

②については、次の図が基本的なパターンです。

冒頭に記載した通り、役員給与は株主総会決議によって決定されます。しかし、株主総会決議は期末日から3ヵ月以内(中小企業の場合2ヵ月以内が多いでしょう)に開催することになっていますので、新しい事業年度が始まってから株主総会が開催され、給与が改定される、ということになります。他方、税金の計算は事業年度で見ますので、事業年度を通じて、給与改定の前と後とで、それぞれ役員給与が一定額であればOKということです。

なお、定期同額給与には、上述した役員が本来負担するはずのものを会社が肩代わりするもののうち、継続的に提供され、かつ、金額が毎月おおむね一定であるものも含まれます。役員個人の家賃や保険料を会社が毎月負担する場合などが考えられます。現物給与となりますので、所得税はかかります。

事前確定届出給与とは

事前確定届出給与とは、株主総会決議においてあらかじめ支給対象者、支給日、金額を決めておき、決めたとおりの条件で役員に対して支払う給与をいいます。

事前確定届出給与が損金として認められるためには、株主総会決議で決定した内容(支給対象者、支給日、金額)等を記載した届出書を税務署に提出する必要があります。提出期限は株主総会決議から1ヶ月以内です。

従業員に勤務成績に応じてボーナス(賞与)を支給するように、役員に対しても業績等に応じて毎月の報酬とは別に報酬を支払いたい、という場合には、あらかじめ株主総会で決議し、この手続に従って届出書を提出しておくほかありません。

次回は、役員給与を決定する際に考慮することを取り上げます。

今日の花

コバノズイナ(ユキノシタ科、原産地:北アメリカ)

「リョウブ」と呼ばれることも多いですが、日本原産の「リョウブ」とは別物です(日本原産の「リョウブ」は2019年4月30日に掲載しています)。まだ蕾で、小さな花が咲いてきます。枝分かれが多く、いい感じに整理する(切る)のが難しいです。柔らかい枝なのですが弾力性はあまりなく、お稽古の最中に、折ってはいけない枝を何本も折ってしまいました…。

編集後記

役員報酬について細かな規定があるのは、ひとえに、利益操作をして不当に税金を減らすことを抑制したい、という意図です。給料でもらえばその分所得税を納めるんだから、利益が出たら、ちょっとくらい増やしてもいいじゃん、と思わなくもないのですが、そうはいかないのがつらいところです。

1日1新

事務員のふり

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