今年の冬は、少し物足りない冬です。

自分の作品を買っていただくということ

通っているフラワーアレンジメントのスクールで、昨年まで5年間、クリスマスの時期に、リース、アレンジ、キャンドルなどの物販をしていました。

私はキャンドルは作れませんので、リースかアレンジを作っていました。

初めて参加したのは、監査法人を退職し、税理士事務所に就職した年でした。

このときは、とあるギャラリーで、作品展示のイベントと同時に物販を行いました。仕事にまだ慣れていなかった(しかも思っていたよりはるかに忙しかった)私は、展示用の作品を作る方に主に注力し、販売用の作品は数点作った程度でした。

スクールの先生が大量に材料を購入してくださり、そこから好きなものを選んで、実費(といってもかなりお安くしていただいていたと思います)をお支払いして、販売用の作品を作りました。

リースでしたら、直径15センチくらいのものに、プリザーブドフラワーのヒムロスギやヒバなどのグリーン、松ぼっくりや綿の実などの実物、フェルトや木でできたオーナメント、リボンなどを、グルーガンやワイヤーでつけていきます。

アレンジでしたら、好きな器に土台になるものを入れて、プリザーブドフラワー、造花、オーナメントなどをグルーガンでつけたり、ワイヤーがついているものはそのまま刺したりして作ります。

販売する、といっても、どんなものを作ればいいのか想像もつかず、初めは先生にお勧めされるまま作り、いくつかは、自分の好きな材料だけを選んで作りました。

販売用の作品を作るにあたり、先生からは、お金を出して買っていただく以上、素人が作っているという甘えはいけない、と教わりました。

  • すぐに壊れないようにする、すぐに飾りが取れないようにする(しっかり貼り付ける、くくりつける)
  • 倒れないようにする(重しを入れるなど)
  • ワイヤーや小枝などでケガをしないようにする(グルーでワイヤーの先端をとめたり、やすりで削ったりする)

こういったことは最低限、十分気を付けるようにと、ご指導を受けました。

初めて自分の作品を買っていただいた時、たまたま自分は当番でレジの近くにいました。

その時の驚き、舞い上がるような嬉しさ、どことなく気恥ずかしい感じは、今でも忘れません。

同時に、十分に気を付けはしたものの、飾りがすぐに取れたりはがれたりしてしまわないだろうかと不安で、物を売る、お金を出して買っていただくということは、こんなにも責任を伴うものなのだと痛感しました。

自分の作品を買ってくださる人がいる、という体験は、他の生徒さんにとっても大きな喜びだったようで、またやろうと大いに盛り上がり、翌年も同じギャラリーで、今度は物販のみのイベントを行いました。

場所が変わるといろいろ変わる

3年目からは、路面で販売することになりました。物販スペースとしてはかなり有名な場所で、気合も入りました。

とはいえ、スクールに行かなければ材料はなく、なかなかスクールに行く時間は作れない。このころから少しずつ、自分で材料を買うようになりました。

四ツ谷にある東京堂という花関係専門の資材屋さんや、蔵前にあるシモジマの系列店のeast side tokyoというクラフトショップに見に行ったり、見なくてもわかる定番品のグリーンや実物などは、インターネットの資材屋さんを利用することもありました。

そうやって調達した材料を使って、毎週金曜の夜から週末にかけて、ひたすらリースやアレンジを作りました。

ところが、路面での販売は予想以上に難しかったのです。

4年目は、価格をグループごとに一律にして(2,000円、3,000円など)価格別に展示販売するという試みでしたが、曜日の関係もあってか撃沈。

5年目は、価格は自由につけることに戻りました。今回で最後、と言われていましたので、材料をできるだけ使い切りたいな、と、売れはしたものの、かなり採算度外視になってしまいました。

趣味の物販とはいえ、特にギャラリーと路面との2ヵ所での販売を経験したことで、学んだこともありました。

フリのお客さんをひきつける難しさ

人通りはあるのに、手に取って見てくれる方はとても少なく、見てくださっても、購入に至るには、なかなかハードルが高い、と感じました。

ギャラリーでは、ギャラリーの店構えそのもののかわいさがあるため、人を引き付ける力は強い。

また、ギャラリーの扉を開けるというハードルを越えている時点で、路面店の前を通りかかるよりも、興味というか「買う気」の度合いは高いので、買ってくださる率も高いのだと思いました。

場所の違いは価格の違い

路面で売っている=安いだろう、と思いますよね。私だってそう思います。路面では、ギャラリーで販売していたときよりも安いものから売れていきました。

ギャラリーであれば、「ギャラリーで売っているのだから価格帯はこれくらいかな」という想定をしたうえで、お客様はお店に入ってくださっている。ギャラリーでは、贈答用にと、比較的高額のものを買っていかれる方もいらっしゃいました。

私はかなり細かく材料費を計算していました。グリーンも使ったグラム数を測り、実物もいくつ使ったかを数えて材料費を出し、それにマージンをのせていました。のせるといっても、4年目、5年目になると、路面での販売はこの大きさならこのくらいの金額でないと売れない、という経験則ができて、正直、参加費をまかなうことすらできず、自分の時給など到底出ないような金額でした。

これも、ビジネスならダメですね。本当は、少ない材料で豪華に見せたり、安い材料を組み合わせるといった工夫で、材料費を抑える努力が必要です。

売れ筋のものの違い

「おしゃれ」「素敵」と思うような作品でも売れ残ります。普通のお店には売っていないようなちょっと変わった作品(でも変わりすぎていてはダメ)で、なおかつ手頃な価格のものが売れていくのです。

ただ、これは、路面だとより顕著になった傾向、という気がします。

どんな商品でも、ひとりよがりで「きれい」と思っても売れません。

クリスマスの商品であれば、クリスマスらしさがあり、ハンドメイドですので「1点もの」ならではの個性があり、かつ、お得感のあるもの、そういうものが売れていきました。

その場所に買いに来る方のニーズに合ったデザイン・価格のものをそろえる必要があります。路面では、なおさらその目がシビアになる、ということだと思います。

自分の作品で、売れたもの・値下げしたら売れたもの・売れ残ったものを分析するのは、毎年興味深かったです。

おわりに

昨年で物販は最後だったため、今年はここ数年恒例だった金曜深夜のリース作りもせず、何となく物足りない12月を迎えました。

自分が作りたいと思い、かつ、売れそうなデザインを考えるのは、それなりにハードでしたが楽しいプロセスで、ひとつひとつ何かを作り上げていくのは、いろいろなことを忘れて没頭できる貴重な時間でした。

またいつかやらないかな・・・。

今日の花

2年越しで売れ残ったリースです。直径25センチ、シルバーとブルーのみという、趣味100%の作品です。小さいものはシルバー&ブルーでも売れましたが、大きいものは難しかったです。「よほどうちに帰ってきたかったのね」と、事務所の壁にかけてあります。