「青色申告していると、事業所得で発生した赤字を繰り越して、来年以降の黒字と相殺できる」ということは、ご存じの方も多いと思います。

青色申告を継続しているという要件は必要ですが、損失を繰り戻す=前の年の黒字と相殺することもできます。

純損失の繰越控除

次の要件を満たす場合に、事業所得で発生した赤字を繰り越して、来年以降3年間の黒字と相殺できます。

  • 損失が発生した年分に青色申告を行っていること
  • 損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない赤字の金額(=純損失)があること

損益通算とは、総合課税が適用される所得の枠内で所得をグループ分けし、一定の順序で黒字と赤字を相殺することができる仕組みです。

損失申告を行う場合は、第四表という専用の申告書用紙を追加で作成し、損失が発生した所得の種類、年分ごとの内訳を記録していきます。

申告期限を過ぎた場合

申告期限を過ぎた場合でも、翌年以降、純損失の繰越控除は可能です。

なお、法人の場合は、2期連続して期限後申告を行った場合は、青色申告の承認を取り消すことが明記されていますが、個人の場合にはこの文言はありません。

とはいえ、他の要素も踏まえた税務署長の判断によりますので、取り消されることが絶対にないとは言えないのではないかと思います。

翌年は白色申告を行う場合

純損失の繰越控除は、損失が発生したときに青色申告を行っていることが要件です。

従って、

  • 損失が出た翌年に法人成りして、個人は白色申告を行う場合
  • やむなく事業を廃業し、翌年以降に白色申告を行う場合

についても、純損失の繰越控除は可能です。

純損失の繰り戻し

次の要件を満たす場合に、事業所得で発生した赤字を繰り戻して、前年以前の黒字と相殺できます。

  • 【共通】相殺しようとする黒字のある年に青色申告している
  • 【共通】繰り戻し還付請求をする年に、青色申告かつ期限内申告をし、還付請求書を青色申告書と一緒に提出する
  • 黒字の発生した翌年に純損失が発生している
【例】
平成29年分(青色申告)課税所得100万円、所得税の納税額5万円
平成30年分(青色申告)純損失200万円
  • 事業を廃業した場合、廃業した前の年に純損失を青色申告しており、前々年に黒字がある
【例】
平成28年分(青色申告)課税所得100万円、所得税の納税額5万円
平成29年分(青色申告)純損失200万円
平成30年に廃業(青色申告)

具体的な計算

計算としては、

  1. 課税所得100万円から純損失100万円を差し引く
  2. 課税所得は0円となる
  3. 所得税も0円になるので、納税した所得税額5万円の還付を受けられる

ということになります。

使い切らなかった200万円−100万円=100万円は、翌年以降の繰越控除に使えます。

また、100万円全部差し引かないで、50万円だけ差し引き、150万円を翌年以降の繰越控除に取っておく、ということもできます。

注意点

所得税だけ

繰り戻し還付の対象となるのは、所得税だけです。復興特別所得税や住民税は対象になりません。

税率の問題

所得税は累進税率になっています。

前年(または前々年)の黒字よりも、来年の黒字の方が多くなる見込みがあるのであれば、前年(または前々年)の黒字にかかる税金よりも、来年の黒字にかかる税金の方が高くなりますので、来年に赤字を取っておく方が得、といえます。

おわりに

あまり嬉しい話ではありませんが、「向こう3年で引ききれないほど赤字が出てしまった」という場合に、思い出していただけるとよいと思います。

今日の花

カーネーション(ナデシコ科、原産地:南ヨーロッパ・地中海沿岸)

スプレーカーネーションで「ミニティアラミルクホワイト」という名前です(これも忘れずにメモしてきた)。見た目通りの名前ですね。よく見るカーネーションとは形が違いますが、「ナデシコ」に似ていますので、原種に近い形が出るように配合した品種なのかな、と推測します。ピンクや赤もあるようで、それもかわいらしいです。