株主優待目的で購入し、その後「あまり株主優待も使わなくなったし」と売却しようとしたところ、あまりにも値下がりしていたためやむなく持ち続けていた株が久しぶりに値上がりし、運良くそのタイミングで売却できたと、母が喜んでいました(掲載許可もらっています)。
株を買った価格よりも高い価格で売ることができてもうけが出ると、税金(所得税)がかかります。
株を持っていると配当金を受け取ることがありますが、これにも税金がかかります。
なかなか自分の記憶に定着せず、確定申告時期になると毎回確認しているところなので、備忘を兼ねておさらいします。
今回は、個人が所有する上場株式(東証一部などの株式市場で自由に売買できる株式)を売ってもうけが出た場合、のお話です。
税金がかかる対象
株を買った時よりも高い金額で売れたら、そのもうかった分の金額に税金がかかります。式で書くとこんな感じです。
(株を売った時の金額−手数料)−(株を買った時の金額+手数料)
例えば、1株1,000円の株を100株買って1,200円で100株売った場合(手数料は考慮しない)は、
(1,200円×100株)-(1,000円×100株)=20,000円
20,000円に対して税金がかかります。
税金の計算方法~申告分離課税とは?
所得税は、個人の所得(お給料、商売や株式投資などで得たもうけ)に対してかかる税金です。
所得税を計算するに当たっては、所得の種類は10種類、計算方法は3種類に分かれており、所得の種類によって使うべき計算方法が決められています。
株を売って出たもうけは譲渡所得といいます。
譲渡所得は申告分離課税という計算方法を使います。
「分離」というように、他の所得、例えば、お給料の給与所得や商売のもうけである事業所得とは別にして、それだけ分けて計算します。
何%の税金がかかる?
株を売って出たもうけにかかる税金のパーセンテージ(税率)は、国に納める所得税が15.315%(復興特別所得税を含む。)、住んでいる市区町村に納める税金(住民税)が5%です。
累進課税という言葉を聞いたことがあるかもしれません。累進課税とは、所得の金額が多いほど税率が高くなる、という仕組みです。
所得税は累進課税、とよく言われますが、申告分離課税を使う所得は、所得の種類ごとに税率が一律です。
先程の例でいうと、
所得税:20,000円×15.315%=3,063円
住民税:20,000円×5%=1,000円
の税金がかかります。
確定申告が必要か?
先程、「申告分離課税」という方法で税金を計算すると書きましたが、この「申告」は確定申告のことですので、基本的には確定申告が必要です。
しかし、上場株式を売ってもうけが出た場合は、証券口座の種類により確定申告が必要かどうかが異なります。
証券口座とは?
株の売買は、証券会社を通して取引する必要があります。このため、まず、証券会社に口座を作ります。この口座が「証券口座」です。
証券口座の種類
証券口座には2種類あります。
- 特定口座
- 一般口座
特定口座とは、上場株式を売ってもうけが出た場合などの税金について証券会社が計算を行い、「特定口座年間取引報告書」という書類を株主に提供してくれる口座です。
一般口座では、すべて自分で計算を行います。
特定口座にはさらに2種類あります。
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
源泉徴収とは、金銭を支払う人が、あらかじめ税金を差し引いて受取人に支払い、本来税金を納めるべき受取人の代わりに、金銭を支払う人が、差し引いておいた税金を納める制度です。
例えば、お給料の場合、会社が従業員にお給料を支払う時に税金を差し引いて支払い、会社が従業員の代わりに差し引いた税金を納めています。
確定申告する必要のある人・ない人
株を売ってできたもうけについては、証券会社は株を売った人に株の売却代金(上の例でいうと120,000円)を支払いますが、この時、特定口座(源泉徴収あり)の口座の持ち主に対しては、もうけにかかる税金をあらかじめ差し引いて支払い、差し引いた税金を証券会社が国と市区町村に納めます。
上の例でいうと、特定口座(源泉徴収あり)の口座の持ち主には、
120,000円(1,200円×100株)−3,063円(所得税)−1,000円(住民税)=115,937円
が、証券会社から手取額として証券口座に振り込まれ、差し引かれた税金3,063円と1,000円は、証券会社がそれぞれ国と市区町村に代わりに納めてくれます。
従って、特定口座(源泉徴収あり)の口座の持ち主は、確定申告する必要はありません。
特定口座(源泉徴収なし)または一般口座の持ち主は、確定申告する必要があります。
まとめ
個人が所有する上場株式(東証一部などの株式市場で自由に売買できる株式)を売ってもうけが出た場合
- 株が買った時よりも高い金額で売れたら、もうかった分の金額に税金がかかる
- 株を売って出たもうけは譲渡所得
- 譲渡所得は申告分離課税で計算する
- 税率は、所得税(国)が15.315%(復興特別所得税を含む。)、住民税(市区町村)が5%
- 証券口座が特定口座(源泉徴収あり)なら確定申告する必要なし
さて、冒頭に登場した私の母。ふと気になって、
「売却益から源泉徴収されてた?」
(経理の経験があるので源泉徴収の意味はわかる)と確認したところ、
「え~、そんなこと気にしていなかったから、わからない」
という返事(そんな予感はしていたけれども)。念のため、取引履歴を見てもらったところ、
「譲渡益税源泉徴収金、ていうのがある」
とのことで、無事、源泉徴収されていたことが判明しました。確定申告は必要なしですね。
「取りっぱぐれはないのね~」
と感心しておりました。もうけのあるところには税金あり、ですよ。
おわり。
今日の花
バラ(バラ科、原産地:ヨーロッパ・アジアの温帯)
王道の赤バラです。ここまで王道の花は自分では買わないので、お稽古で使うと新鮮です。さすがの美しさでした。