前回、貸借対照表とは何か、貸借対照表に記載されるものの主な内容、貸借対照表からわかることの一つ(資金の調達と運用)についてご紹介しました。

今回は、貸借対照表からわかるもう一つのこと(財務の安全性)をご紹介します。

財務の安全性とは

財務の安全性は、支払い能力と言い換えられます。

資金繰り、という言葉はお聞きになったことがあるかもしれません。

資金繰りとは、会社や事業で受け取るお金の「入り」と、必要な支払いに回すお金の「出」とを比較し、支払いに回すお金が不足しないように確認する作業であり、もし不足するようであれば、何らかの手段(銀行から借りる、社長個人から借りる、支払いを待ってもらう・分割してもらう、など)で資金ショートしないようにすることです。

貸借対照表から見る財務の安全性は、あくまで貸借対照表作成日時点のものですので、日々あるいは月々の資金繰りとは異なりますが、資金繰りに余裕がありそうかなさそうか、という目安にはなります。

貸借対照表には、資産、負債、純資産が記載されており、資産と負債は、それぞれ、流動資産・流動負債、固定資産・固定負債に分けられるのでした。

また、負債と純資産の違いは、返す必要があるかどうかで、純資産は返さなくていいものでした。

これらの特徴をふまえ、比率を求めることによって、安全性を測ることができます。

安全性分析

安全性の指標となる主な比率には次の5つがあります。

  1. 流動比率
  2. 当座比率
  3. 固定長期適合率
  4. 固定比率
  5. 自己資本比率

流動比率

流動比率は次の算式で計算します。

流動資産÷流動負債×100

流動比率は、短期的な支払能力を測る指標です。

流動資産・流動負債は次のような基準に当てはまるものでした。

  • 営業活動から生じた資産または負債であるか(正常営業循環基準)
  • 販売用の資産または製品の製造に用いる資産であるか(棚卸資産)
  • 1年以内に入金または支払いの期限が来るか(ワンイヤールール)
  • 現金及び預金

短期間で入金する(換金できる)ものと短期間で支払いしなければならないものとを比較し、短期間で換金できるものの方が大きければ(比率は100%を超えれば)、短期的な支払能力が安定している、ということになります。

一般的に、100%を超えていると安定している状態と言われます。

当座比率

当座比率は次の算式で計算します。

当座資産÷流動負債×100

当座比率も短期的な支払能力を測るための指標ですが、流動比率との違いは、分子に「当座資産」という、より換金性の高いものを用いる点です。

当座資産とは、現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券(短期保有ですぐに売却できるもの)をいいます。

これと、短期間で支払いが必要な流動負債をを比較し、比率が大きいほど、短期的な支払い能力に優れている、ということになります。

注意点

流動比率にも言えますが、受取手形や売掛金の中に、長期間回収できていないもの、すでに回収の見込みがないものがまざっていると、正しい測定ができません。

固定長期適合率

固定長期適合率は次の算式で計算します。

固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

固定長期適合率は、固定資産に投資した資金の源泉が長期資金でどれだけまかなわれているかを測るための指標です。

固定資産は、建物、機械装置等の有形固定資産やソフトウェア等の無形固定資産等からなります。これらの資産は販売等をしてすぐに換金できるわけではなく、長期的に利用することによって収益を生み出すものです。

したがって、固定資産を取得する資金を短期資金(短期借入金等)でまかなうと、固定資産からゆっくりと生み出される収益(=お金)とすぐに支払わなければならないお金(=短期借入金等の返済)との間で時間差が生じ、支払いは非常に困難になります。

このため、比率が小さいほど、安定している状態、ということになります。

一般的に、100%以下であれば安定している状態と言われます。

固定比率

固定比率は次の算式で計算します。

固定資産÷自己資本×100

自己資本とは、純資産の中の「株主資本」の金額をいいます。

固定資産に投資した資金の源泉が長期資金でどれだけまかなわれているかを測るための指標ですが、分母を自己資本とすることにより、長期資金のうちでも、返済義務のない自己資本ででどれだけまかなわれているかを測ることができます。

自己資本比率

固定比率は次の算式で計算します。

自己資本÷総資本×100

総資本とは総資産のことです。資産は、調達した資金を使っている先(投資先)です。自己資本と総資本(総資産)とを比べるということは、調達した資金のうち返す必要がない資金の割合を見るということです。

このため、比率が大きいほど、安定している状態、ということになります。

一般的に、50%以上であると安定している状態と言われます。

おわりに

貸借対照表の中身を理解し、正確に流動・固定の分類をしておくことにより、支払能力に代表される財務の安全性を測ることができます。

中身を一つ一つばらばらに取り出してみれば、預金、受取手形・支払手形、売掛金・買掛金、建物、借入金など、なじみのあるものも多いと思います。

そういう目で、もう一度見てみていただくとよいのではないでしょうか。

今日の花

ムスカリ(ユリ科、原産地:地中海沿岸・西南アジア)

球根つきです。画像下の方に白い丸いものの一部が見えますでしょうか?これが球根です。この時は長さ10センチにも満たないくらいでしたが、翌朝になったら一気に倍くらいに伸びていてびっくりしました。根元に見えている小さな花も今はぐいぐい伸びました(花はそれほど大きくなりませんでしたが)。球根つきの花は育つ姿が目に見えるので、やっぱり楽しいですね。