「取得価額」と「取得費」。
どちらも土地、建物などの固定資産に関連するものです。「取得にかかったお金?」というのは見た目から想像できるかと思いますが、少し、違いがあります。
取得価額とは
取得価額とは、固定資産を買ったときにかかったお金で、次のものから構成されます。
- 固定資産の購入対価(売買価格のこと。マイホームなどを建設した場合は建築費が該当します。)
- 固定資産の購入にかかった付随費用
取得費とは
取得費とは、固定資産を買ったときにかかったお金から減価償却費相当額(累計額)を差し引いた金額で、固定資産を買ったときにかかったお金は次のものから構成されます。
- 固定資産の購入対価
- 固定資産の購入にかかった付随費用
「取得価額」と「取得費」の違い
買った価格そのものかどうか?
取得価額は固定資産を買ったときにかかったお金ですので、1回決まったら、後からそれが変わることはありません。
取得費は、取得価額から減価償却費相当額を差し引いた金額です。
減価償却とは、固定資産の取得価額を毎年一定の方法で規則的に必要経費に振り替えていく会計・税務処理です。
従って、減価償却費相当額は年々増えていくものであり、今この時点の取得費と来年の今日の取得費とは異なります。
関連する所得
取得価額→事業所得や不動産所得
取得費→譲渡所得
「取得価額」は、事業所得、不動産所得等で「減価償却費」を計算するための基礎となるものです。
「取得費」は、譲渡所得を計算するときに、売った金額から差し引くものです。
付随費用の分類
固定資産を購入するためには、売買代金(建設代金)そのものの他、様々な費用がかかります。
「取得価額」「取得費」に含まれる付随費用としては、例えば、次のようなものがあります。
- 仲介手数料
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 借入金利息(借入れから固定資産の使用開始の日までに対応する部分)
- 固定資産税の精算支払額
- 不動産取得税
- 立退費用
- 土地を更地にするための既存の建物の取壊し費用
- 地鎮祭の費用
- 周辺住民対策費用
一般の個人の方であれば、このような費用は、不動産を売る、となったときに初めて「取得費」として意識されますが、個人事業を営む方が店舗や賃貸不動産を持つ場合は、次のものは、支払った年の「必要経費」にすることができます。
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 借入金利息
- 不動産取得税
なお、個人事業を営む方が店舗や賃貸不動産を売るときには、事業所得や不動産所得ではなく譲渡所得の計算を行いますが、そのとき、すでに「必要経費」にした経費は「取得費」に含めることはできません。
今日の花
トルコキキョウ(リンドウ科、原産地:北アメリカ)
トルコキキョウ(リシアンサスとも呼ばれます)の中でも比較的大輪のものです。1本がいいお値段するのです(これはいただきものですが)。写真で伝わっているかわかりませんが、花びらがとても薄くて、折り目がついたり破れたりしやすいです。きれいな花を見ながらも、「輸送も特別な方法でしてるのかな(だからコスト増?)」などど、しょうもないことを考えたりします。