「ミラサポ」というサイトをご存じですか?
ミラサポは、中小企業庁の委託により運営されている、全国の中小企業・小規模事業者とその支援を行う支援機関や専門家のためのインターネットサービスです。
無料の会員登録をすると、先輩経営者や専門家との情報交換を行えるコミュニティに参加することができたり、専門家派遣サービス、電子申請に対応した補助金・助成金の申請サービス、会員向けに用意されたお役立ちツール等を利用することができます。
私も会員登録しているのですが、今回届いたメールマガジンに、「たった1枚のシートを使って、新規事業の立案や、売上拡大をめざす!」という、なにやら魅力的なツールについて紹介されていました。
ビジネスモデル・キャンバス
紹介されているのは、ビジネスモデル・キャンバス(以下「BMC」という。)というツールです。
BMCはビジネスモデルの検討手法として使われるツールの1つで、大手企業などでも利用されているそうです。
BMCには、ビジネスモデルの検討に必要な9つの要素が盛り込まれています。
まず、中心となるのは、
顧客が商品やサービスを選ぶ理由(WHY):価値提案(VP、Value Propositions)…ビジネスの根幹であり顧客が商品やサービスを選択する理由となるコト・モノ
です。
残り8つの要素を、売り手側(企業)の要素4つと、買い手側(顧客)の要素4つとに分けます。
売り手側の要素は次の4つです。
- 誰が(WHO):パートナー(KP、Key Partners)…販売代理店や協業企業など、自社にない経営資源を提供する協業パートナー
- 何を使って(WHAT):リソース(KR、Key Resources)…店舗、物流、IT、特許、ブランドなど、商品やサービスを提供するのに必要な経営資源
- どれだけの費用をかけて(HOW MUCH):コスト構造(C$、Cost Structure)…商品やサービスを提供するのに必要なコスト
- どうやって提供するか(HOW):主要活動(KA、Key Activities)…仕入れ、製造、販売、研究開発など、商品やサービスを提供するのに必要な活動
買い手側の要素は次の4つです。
- 誰に対し(WHO):顧客セグメント(CS、Customer Segment)…ターゲット、想定顧客、具体的な人物像(ペルソナ)
- 何を使って(WHAT):チャネル(CH、Channels)…店舗販売、通信販売、展示会など、顧客に商品やサービスを届けるための経路
- どういう関係の中で(HOW):顧客との関係(CR、Customer Relationship)…顧客とどのような関係構築を図るか、その期間や深さ
- どれだけ儲けるか(HOW MUCH):収益の流れ(R$、Revenue Streams)…顧客からの売上の頻度、他社との相対的価格差など
BMCは、1枚のシートの中にこれらの9つの要素がブロックとして配置され、各ブロック間の相互の関連性が一目で分かるような作りになっています。
出典:ミラサポ「経営者・専門家ニュース」技術・商品開発分野「新規ビジネスはこう考える!売上拡大にも役立つツールの活用1」(2018年11月28日公表)
小松会計事務所のBMC分析
なかなかおもしろい。お客様にお勧めできるかも。
・・・いやむしろその前に、これを使って自分の事業を見つめ直してみるべきなのでは?
というわけで、恥ずかしながら、小松会計事務所のBMCを作ってみました。
現状分析
まず、価値提案ですが、現状は税務業務(決算、税務申告、税務相談)がほとんどとなっています。
主要活動の「インプット」と「アウトプット」ですが、「インプット」は、質問をされたり、あるいは自発的に、さまざまなことを調べたり、実際に試してみたりすること、「アウトプット」は、税務業務を行ったり、こういったブログを書いたりすることにより、インプットしたものを活かすことです。
コスト構造については、家賃はないので、かかっている経費を固定費と変動費に分けてみました。
お客様との関係はほぼ顧問契約のみで、現在のお客様は元々自分のことをご存じであったり、そのような方からご紹介いただいた方々がほとんどです。
チャネルは事務所のみ。お客様の事務所へ出向くことも含みます。
ほぼ顧問契約のお客様ですので、収益も顧問料がほとんどとなっています。
経営改善の検討
ピンクが追加した項目です。
まずは、新しい価値提案について考えていきます。
これからやっていきたい業務として、短期間の会計指導、スポットの税務相談などのサポート業務があります。
サポート業務を行うとすれば、新たに、短期間のお客様との関係性やスポット料金の収益が発生することになります。
価値提案としてもう一つ、顧問業務・サポート業務の両方に言えることですが、人としての価値、をお付き合いする方々に感じていただきたいです。
例えば、信頼できる人、頼もしい人、安心できる人、会うのが楽しみな人、話していると元気が出る人、新しいことを教えてくれる人、価値観が同じ人、といった印象を持っていただきたいな、と思います。
すでにそういう人物である、ということではなく、そうありたいと思いながら、インプットやアウトプットを日々行っていく、という意味です。
その延長線上で、このブログやホームページを読んでいただき、共感してくださる方がお客様になっていただけたらな、と思います。
また、チャネルとして、現在は事務所のみですが、Skypeなどは元々使えますので、これをもっと積極的に伝え、遠隔地のお客様でも相談していただけるというアピールをしていきたいです。
コスト面では、私の生活費以外の人件費はかかりませんので、減らせるコストは減らし、書籍にはもっとお金をかける、といった見直しが常に必要だと思います。
まとめ
このように、新しい価値提案を追加すると他の要素に波及していき、それがさらに新しい価値提案につながるという関連性・循環性が、BMCの特徴となっています。
具体的な施策は別途検討することになりますが、施策を打ってはまた見直すという過程でもBMCは役に立つと思います。
今回は私の事業の簡単な分析でしたが、ミラサポのサイトでは、花屋さんの経営分析事例が紹介されていますので、一般の事業を営む方はそちらをご参照ください。
おわり。
参考:ミラサポ「経営者・専門家ニュース」技術・商品開発分野「新規ビジネスはこう考える!売上拡大にも役立つツールの活用1~3」(2018年11月28日公表)
今日の花
ヤリゲイトウ(槍鶏頭)(ヒユ科、原産地:アジア、アフリカの熱帯(推定))
ケイトウの仲間です。花が重くていけるのは大変でしたが、ものすごく花持ちはよかったです。